高地ラオス:絶景だがタフな山越えの道

 

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国中、全く海に面していない国が一つある。それは、タイ王国の裏山、ラオスである。

その内陸の地ラオスで最も耳目を集める古都ルアンパバーン(世界遺産)」は、陸路でのアクセスがタフなことでも知られている。

 

古都ルアンパバーンと戦時中に米軍の飛行キャンプが置かれたバンビエンの間を運行する路線バスは、かつて「ジャピング・バス」とまで呼ばれるほどに、道の凸凹が激しい悪路をいくものだった。今日ではさすがにバスが飛びまではしないが、それでも山間の道を右に左にと揺られるこの道の移動が、すでに21世紀とは思えないほど辛いことには変わりがない。

 

 

 古都ルアンパバーン〜バンビエン間は、ラオス北部の中でも高い山々が連なる高地ラオスにあり、ミニ・バンだと新道(国道4号)経由で45時間の道のり、大型バスだとより所要時間の長い旧道(国道13号)を通る7時間のロング・ライドとなる。どちらも料金はそう変わらないので、この区間を訪れる人々には、できればミニ・バンの短めの経路を勧めたい。

 

 しかし、運悪くスケジュールの都合で旧道経由のバスになった場合は、「何かの時のための経験だ」と覚悟を決め、できるだけそのタフな行程を楽しむようにした方が良いだろう。景色はそれなりに美しい。

ずっと蛇行を繰り返す国道13号線
ずっと蛇行を繰り返す国道13号線
国道4号を通っても、やはり蛇行はする。
国道4号を通っても、やはり蛇行はする。

 

 通常のバスは20人乗り程度の小型バスであり、ベトナムのように無理やり人と荷物を「車内空間満載まで詰め込む」ということもないので、心理的にはそう辛くない。心理的には。

 しかし、物理的にはやはりタフな道である。山間を縫うようにして、ずっと右へ左へと曲がりくねるワインディング・ロードが続き、路面は所々で容赦無く陥没している。2000メートル以上はあろうかという山々が連なり、その合間をバスで抜けていく山道は、さながら上下左右に身体を揺さぶる刺激を楽しむ遊園地のアトラクションのようだ。

 自分がこの旧道のバスに乗って移動した時には、バスにちょうど20人の乗客が乗っていた。大方はラオス人であり、あとは数人の中国人と日本人の私のみ。目的地のバンビエンまでは、グーグル・マップで計測すると3時間ほどで到着できるとの予測が出るが、この山道の228キロはそんなに生易しいものではない。2回の休憩を挟んで、7時間はかかるとみておいたほうが良い。

 

 バス停でチケット売りの係員に所要時間を尋ねると、「5時間」と教えてくれたが、それはあくまで「5時間で着いたらいいよね」という希望的観測だ。東南アジアの時間は「ゴム時間」と呼ばれ、「よく伸びる」ことでも知られる。

 

 2度の食事・トイレ休憩を挟み、合計7時間ほどの道中、20人の乗客のうち、女性4人、男性1人の合計5名が吐いていた。バスにはあらかじめ吐瀉用のビニール袋が用意されているので、「乗客が吐くことは想定内のこと」である。乗客20人中の5人、25%もの人が吐くルートというのも、世界にそう多くはないだろう。

 

しかも、吐いたのは全員が現地ラオス人であった。高地ラオス人は山には慣れているはずなのだが、それでもラオスの人々は車酔いをする人が多い。「山には慣れていても、車に乗ることには慣れていない」のである。ラオスの田舎の人々は、滅多に自分の暮らす村から外の世界に出ないのであろう。お年寄りには、自分の生まれ育った村だけが自分の知る世界の全て、という人も少なくなさそうだ。また、山間部でも二輪のバイクは割と普及しているが、四輪の車に乗ることに不慣れな人々も少なくない。

 「つらい山道を眠ってやり過ごそう」というのも一つの手だが、あれだけ上下左右に揺さぶられる上に、路面の陥没の衝撃もしばしば伝わってくる車内では、多少の眠気では眠り続けることはほぼ不可能だ。気絶しているならまだしも。

 

 

 

 

山間バスは、ラオスのアトラクション

 

そのほかの「ラオスの記事」

そのほかの「ASEANの記事」

 

過去ブログを観るには、Blog をご覧下さい。