バンコク:東南アジアで最も高いビルの建築計画

 

 タイ王国の首都バンコク、都市計画のデタラメさに起因する交通渋滞の酷さはつとに有名であるが、そんな恒常的に渋滞のひどいこの街にて、冗談のような建築プロジェクトが走り始めたようである。

 

 ここ数年、バンコクの渋滞の最も酷い地域の一つである、ラチャダーピーセーク通りのMRTプララマ9の近辺は、大型ショッピングモールのセントラルやオフィス棟、高級コンドミニアムなどが立て続けに立ち上がってきている。

 

 それに伴い、交通渋滞もより深刻になっているのであるが、車両の流れをスムーズにするプロジェクトは全く手つかずのまま、615メートルもの高さのある東南アジアで最も高いビルを建てるというプロジェクトが発表されたのだ。

 

 

 

 

 

 現在、アジアで最も高いビルは、マレーシアはクアラルンプルのペトロナス・ツインタワーである。オイル会社のペトロナスが建てたアジア一高いビルは同じくオイル・マネーで街自体を作ってしまったデュバイに抜かれるまで、世界一の高さを誇っていた。

 

 バンコクのプロジェクトは、なんとそのマレーシアのツインタワーを抜く高度のビルを建てるというのである。

 

 

 

 現在、タイ王国で最も背の高いビルは、ホテル施設が主な304メートルのバイヨーク・タワーであるが、2016年(かそこら)にリッツカールトン系の高級コンドミニアムが315メートルの高さで竣工予定である。すでにその大まかな姿は現れているので、オープンまでそう遠くないようだ。

 

 

 そして今回の高層建築プロジェクトは、一気にそれらの2倍もの高さのビルを建てるというのだから驚きだ。

 

 

 しかし、その完成予定が2019年とあと5年もない。タイ王国の建設スピードの遅延を勘案すると、それを疑問視する人も多い。

 こうした大型プロジェクトで遅延が発生すると世界の嘲笑を買うのであるが、さすが「微笑みの国」、その辺も勘案しているのかもしれない。

 

 

 

 仮に2019年までに建ったとしよう。しかし、近隣の交通をスムーズにする配慮はなされず、おかしな調子の交通システムはそのままであり、多くのタイ人の交通マナーも改善されているはずはないので、おそらく更に酷い交通渋滞となっていることは容易に想像できる。

 

 背の高いビルを建てる前に、交通フローの円滑化などやるべきことは山積みのはずなのであるが、道一つ舗装し直すにも建設費の内の半分以上が汚職に消えてしまうと言われるタイ王国の公共プロジェクト事情を考えると、この街が快適になる施策が取られることは期待できそうもない。

 

 タイ王国は観光の目的地としての魅力も急激に失っているので、このプロジェクトも途中で腰砕けになるのではないかと危惧する向きもある。バーツが暴落した頃から、幾つもの大型建設プロジェクトが建築途中で頓挫し、そのまま放置されてしまったように、このアジア一高いビルが廃墟とならないことを祈るしかあるまい。

 

 

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