ベトナム人の不条理な商人根性

 

 現地事情を知らない旅人と見るや、商品やサービスの価格を適正価格よりも高く売りさばこうとするベトナム人は少なくない。さながら、かつての中国大陸の商人たちのように、「ひとまず高めに言ってみよう」という習性が身についており、その後、客との本格的な価格交渉をするのを「当然のこと」と考え信奉しているのだ。

 

 これはさすがに適正料金のありそうな「公共バス」などでも起こる。街中を走るバスの路線に乗り込んだ外国人と思しき人をみると、ベトナム人の商人根性はむくむくと頭をもたげる。

 

- Advertisement スポンサー広告-

 かつて、ベトナム中部の街ダナンから南へ30キロばかり行ったところにあるホイアンへと、ローカルバスに乗って移動した時のこと。通常この区間は2万ベトナム・ドン(VND)が適正料金の路線なのであるが、バスのチケット売りのおばさんは「5万VNDね」と平気な顔をして言ってくる

 

 「え?3万VNDぐらいじゃないの?」と聞き返す自分。

 

 「5万VNDだよ。」とおばさん。

 

 「ならチケット見せてよ。」と自分。

 

 「チケットはないよ。」と嘘ぶくおばさん。チケットがない?そんな訳はないだろうに。

 

 

 これはいよいよ怪しいなと感じ、数列後ろの後部座席に乗っていた欧米人と現地人のカップルに「いくら払った?」と尋ねてみると、「一人2万ドン、荷物が大きい場合は1万プラスみたいだよ」との返答。

 

 「なら2万と荷物代の1万で、合計3万じゃない!」とおばさんに抗議するも、その顔に「二倍の乗車賃を騙し取れる機会を失ったことへの失望の念」は読み取れるものの、「騙したことへのうしろめたさ」は微塵も感じられない。

 

 周囲のベトナム人の乗客は、このやり取りを見聞きして失笑するだけであり、そうしたことが日常となっているのは明白であった。そう、これがベトナム人の忌み嫌う中国人と共通した悪しき「商人根性」なのである。

 後日、ホイアンからダナンへと戻る帰りの道すがらも、この乗車料金徴収のおばさんに遭遇し、「5万ドンね」と言われるが、おばさんを見上げると向こうも自分を覚えていて、お互いに苦笑する。そう、「乗車賃2万ドン+大きめの荷物代1万ドン」のみ払えば良いのである。自分は黙って3万ドンを手渡した。

 

 ベトナム人のおばさん、いい根性してるね。

 外国人や現地人でないと見るや、条件反射的に料金を釣り上げてしまうあたり、大陸の中国人の一部の人々とその性根が酷似しているのであった。現地語をある程度話し、かつ現地の適正価格を知らない人々には、「ベトナムのぼったくりの洗礼」は収まりそうもない。

やれやれ