国家主席はつらいよ

 

 201593日の午前10時から11時40分頃まで、北京の天安門広場とそれを横切る長安街を中心に、 「中国人民抗日戦争及び世界反ファシスト戦争勝利70周年記念大会」という長ったらしい名の記念式典が開催された。市内の交通規制は言わずもがな、北京首都空港の午前中の離着陸すら禁止にするほどの警戒態勢だった。

 

 式典の貴賓席には、胡錦濤(とその仲間達)という先代の共産党首脳陣とその前の江沢民までが列席し、国外からは今では西側諸国に忌み嫌われるロシアのプーチン大統領を皮切りに、中国との関係性を大切だと思う国々の首脳たち、「国連代表の次のポストは韓国に帰って大統領を狙っている」と言われる国連代表などが顔を並べた。

 

 習近平の期待していた「本来の絵」は、「オバマ大統領を筆頭に西側首脳陣とロシアのプーチンまでをも仲良く同伴しての入場」という絵であったろうが、西側の首脳陣はことごとく出席してくれず、中国とロシアという独裁強権国家(つまりファシスト)のお頭達と、その愉快な仲間達という列席者になってしまったことに、党中央の面々は枕を濡らしていそうだ。

 「やっぱりわしら、欧米の同志が少ないな。来てくれたのは嫌われ者のプーチンぐらいじゃ。」こんな恨み節が聞こえてきそうである。



Photo:  xinhua.cn
Photo: xinhua.cn

 

 式典の主役たちの中央にしゃしゃり出ていたのが、「言いつけ外交」で名を馳せている「韓国のオバチャン」であるが、静止画ではよく分からないかもしれないが、CCTVの動画だと、「近所のオバチャンが格の違う本物のヤクザ達の周りをウロチョロしている感」がばっちり映し出されてしまっていた。

 

 各国の貴賓たちを握手と写真撮影で迎えた習近平が最後に迎えた貴賓は、西側一の嫌われ者、ロシアのプーチンであった。そして、プーチンを伴って一緒に天安門の上階へといざなう習近平の横をうろちょろする「近所のオバチャン」。「邪魔者は皆殺しにする気迫をまとった本物のヤクザの親分たち」と一緒に並ぶには、あまりにも格下であったのが不憫にさえ思えた。

 

 考えてみれば、習近平にとって8月の天津の化学薬品満載の倉庫大爆発など、 「なんでおいらの時にばっかり」という災難が目白押しであった。「環境汚染の深刻化」、「近所の島の所有権」、「住宅価格の下落」、「株式市場の崩壊」、「人災による大事故」と、彼の国家主席就任後に問題が一気に吹き出してしまった。

 

 「本当は、おいらの責任じゃない問題もあるよ!」と言いたいのも分かる。「横に並んだ歴代のお頭たちの「ツケ」を今になって支払わされている、おいらだって、つらい立場なんだよ!」というのもよく伝わってきた。かつての自信満々の習近平と比べると、いくらか「問題ばかりで途方に暮れているな」という感がある。

 

 とはいえ、株式市場を「操作できるもの」と舐めてかかったツケは、すぐに自分たちの代で返ってきてしまった。「操作不能」だと気付いた時にはもう手遅れであり、数百兆円に及ぶ損失を一般投資家を中心に被らせてしまった。その後、奇想天外な対応は続き、「5%以上の株式を持っている者は半年以内の売り抜け禁止」など、それでは「株式投資」ではなく「ほぼ寄付」であろうという愚策も世界を驚かせている。

 

 

 「国家主席はつらいよ」の本番は、どうやらこれからのようでもある。願わくば、「国内の情勢が悪い際に、国外に人民の恨みを転化する」という共産党の十八番に逃げないで欲しいものだ。

 

 

 

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