軍事パレードの北京市民への副次的な恩恵

 

 ここ2週間ばかり、北京市の空気は例年になくきれいであった。というのも、201593日に開催された軍事パレードと、その前後に渡って開催されている国際陸上競技大会のために、北京市とその周囲では大規模な工場の操業規制や交通規制が敷かれていたのだ。

 

 しかし、3日午前の軍事パレードが終わるやいなや、交通規制は緩和され、午後には北京の空気汚染の指数が軒並み上昇するという「目に見える」結果を招いた。中国の空気汚染指数を示すアプリでも、北京の空気が良好表す「緑色」が2週間もの間続いていたのが、規制緩和後にはみるみる「空気良好の緑色」から「軽度の汚染の黄緑色」に変わっていった。(さらに汚染がひどい時にはオレンジ色となり、紅色、紫、そして臙脂(えんじ、黒みを帯びた濃い紅色)が汚染指数最大の区分。)

 

 北京市では、「連日空気が良い」という事が逆に驚くべき事であり、汚染された状態がデフォルトとなっているだけに、空気の良い日々を北京市民は外に出て楽しんでいた。「空気が良い」というのは何と気持ちがよく贅沢なことであるか、と。

 

 通年を通してみると、北京の空気は夏場よりも冬場の方が汚染は深刻である。というのも、北京市では暖を取るために練炭を燃やす人々がまだ多く存在しており、それが有毒ガスを出すという事である。また、建物の中を温めるためにパイプの中を流す温水(暖気)を沸かすのにも、相当量の炭が使われているという話だ。

 

 中国の空気汚染は人間ばかりでなく、この地で暮らす犬や猫などのペットや、鳥などの小動物の肺も等しく汚している。環境汚染は地層に染み込み、汚染された危険な食品を量産してもいる。

 

 人々の生活スタイルや業務運営の仕方を変える事は、並大抵の事ではない。まして、多くの人が暮らしていて、新たに多くの外地の人々の流入する北京や上海といった大都市では、それはより困難な施策となる。少なくとも、あと数年間の間は、「動物が生きるのに相応しい環境ではない」だろう、残念ながら誰の目にもそれは明らかなのであった。

 

 環境汚染への対策は、市民個人でするよりも行政で担当すべき事の方が多い仕事であるが、これまでの環境保全の行政担当者には、汚染物質を垂れ流す工場に便宜を図る事によって私腹を肥やしてきた者もいる。

 

 北京でまた自然に連日の青空が見られるようになるまで、しばらくの時を要するだろう。かつて、北京という個性的な文化のあった街に恋い焦がれた者の一人として、汚染のない街に戻ってほしいと切に願う。

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