SIMロックにみる「国内市場への呪縛」という大失策


 201599日の米時間の日中にアップル社の新規製品等のリリースがあり、 新製品がお披露目された。中でも注目を浴びたのがスマートフォンであるiPhone6Sと大型タブレットのiPad Proだろう。(画像は基本的にアップルの日米サイトから拝借しました)

 

 

 

 アジア諸国を見回してみて、日本ほど携帯電話の使用料金の高い国は少ない。通話やネット回線の利用だけでなく、まず「基本使用料」という名目で数千円もの料金を携帯電話キャリア3社(docomoKDDISoftBank)は徴収するのである。これはつまり、通話やネット回線を利用しなくとも、毎月固定費用を支払わなければならいことを意味する。日本の携帯電話保持者の多くが毎月数千円から1万円程度の使用料を「携帯電話」という通信手段を維持し使用する為に支払わされている。(これは帯域を管理し、割り振る立場の行政の罪も非常に大きい)





 

 また、SIMロックという悪しき慣習も日本の携帯電話の端末には残っている。これはかつて日本の携帯電話が端末料金ではなく「高額な基本使用料などの通信料」で端末代を回収するというビジネス・モデルを展開していた隙をついて、中国などのバイヤーが大量に「本体タダ」などの安い端末を自国に持ち帰って売りさばくなどした際、対抗策として取り付けられた機能であるかもしれないが、結局は「ロックを解除」されて使われてしまっていたので、大きな効果は上げなかった習慣を踏襲している。

 

 今日でも、SIMロックされた携帯電話は、そのままでは海外の安い携帯電話キャリアのSIMを入れても、「SIMが日本国内のキャリアに限定(ロック)」されてしまっているので使うことができない。つまり、これは日本の携帯電話ユーザーが海外に出た時に、「日本の携帯電話キャリアの高額なローミングを使わねばならない」という縛りになってしまっているだけで、「海外に日本の携帯電話を持って行って使われてしまうのを防ぐ対抗策」とはなっていないのである。

 

  一昔前、日本の携帯電話は世界的にも最先端の機能を備えていた。しかし、日本国内の市場で戦うことを前提とした「携帯電話キャリアとメーカー」の癒着により、海外展開が遅れ、いまでは日本の携帯電話メーカーの世界市場でのスマートフォン・シェアはほとんどない。

 

 

Photo: www.bbc.com
Photo: www.bbc.com

 

 

 

 昨今、圧倒的な高収益を上げるのは米国のアップルであり、台数ベースで首位をなんとか維持するのは韓国のサムスン、安さと機能のそこそこの高さで急速に追随するのが中国のフアウェイやシャオミであり、日本の携帯電話メーカーは中国のレノボや韓国のLGの足元にも及ばないのが現実である。

 

 こうした環境にあって、「SIMロック」による日本の顧客の囲い込み、ある意味では日本市場でしか使えない携帯電話に「幽閉する」という戦術は、日本人の携帯電話ユーザーへの理不尽なコスト負担を強いるだけでなく、世界のスマートフォン市場で日本の携帯電話が戦っていく環境を著しく阻害している。

 

 かつて、といっても10年ほど前の近い昔、中国では日本のSONYなどの携帯電話を持つことは憧れであった。しかし、今日の中国では誰もがまずはアップルの製品を持ちたがり、それが叶わない場合には韓国か中国の追随するメーカーの物を持ちたがる。上位機種には日本の携帯電話メーカーの顔は出ない。それは東南アジア諸国でも同じである。

 

 日本のユーザーに高い使用料を支払わせ、世界展開で本来あげるべきであった利益をみすみす見逃した日本の携帯電話メーカーや携帯電話キャリアの罪は、そのまま日本の電化製品企業の収益性の低迷という形で跳ね返ってきている。かつてのSONYであれば、今日のアップルのポジションで我が世の春を謳歌することもできたのであろうが、戦略の間違いを戦術ではカバーできない結果となっている。

 

 

 

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