タイ王国で映画を観る際の特殊性

 

 これまでに英語の映画を中心に、タイ王国の映画館にて、数十本の映画を観てきた。首都のバンコク、米軍の慰安所として栄えたチョンブリー県はパタヤ、国際的に有名なプーケット島、北部のチェン・マイ県やチェン・ライ県には日本にも負けない最新鋭のシネマ・コンプレックスがあり、気軽に映画を観に行くことができる。(その他の県にもシネマ・コンプレクスは多いが、「タイ語の吹き替え版」になっていることが多いので、注意が必要だ)

 

タイ王国で最高級のシネマ・コンプレックスの一つ、バンコクのパラゴン・ショッピング・モールにあるメージャー・シネマズ。
タイ王国で最高級のシネマ・コンプレックスの一つ、バンコクのパラゴン・ショッピング・モールにあるメージャー・シネマズ。

 料金は通常価格が200バーツ(約700円)前後、毎週水曜(が多い)の割引では半額で観られたりするので、映画鑑賞はタイ人にとっても気軽な娯楽として浸透している。また平日でもほぼ半額の学割もあるので、学校帰りの制服を着た学生の姿も多い。

 さらに、日本と違って「英語圏の映画の封切りが早い」のである。日本はだいたい世界でも封切りが最後に回ってくるパターンが多いのであるが、タイではアメリカ製の映画などは割と早い段階で公開されている。

 

 さて、タイ王国で映画を観る際に一つ厄介なのが、「タイ国王の広告」だ。「タイ王国」というだけあって、「王室」が厳然と存在するのであるが、彼らのブランディングのためにタイ人でなくとも、「タイ国王の広告」が流れている2分間は、「起立して静かに敬意を示す」ことが求められるのである。これに従わずにどかっとソファーに座っていれば、最悪の場合「不敬罪」で外国人でも警察に捕まることになる。タイの不敬罪は厳格で、王制についての批判などをしようものなら15年から30年の禁固刑が待っている。

 

タイ王国の国王の広告が流れている。その2分間は観客は全員起立していなければならない。
タイ王国の国王の広告が流れている。その2分間は観客は全員起立していなければならない。

 また、この「王制の広告」が予告編や広告映像の前半部分に流され、すでに済んでいれば助かるのであるが、ご丁寧にも「映画本編の直前」に流されるので、どうしても起立したくない人や映像をやり過ごしたい人は、劇場の外で待つことになる。タイで映画を観る際には、私はいつもこの口だ。

 世界にはまだ数十カ国に王制の残る国があり、タイの現国王のプミポン国王は世界最長の在位期間を誇る国王である。また、彼は非常に自身のブランディングに長けた人で、国民の多くから「心底」慕われている。そして、蓄財にも長けた人で、世界の王室の中でもっとも富めるのがタイ王国の王室である。ちなみに、タイの国民は世界で数十番目の平均所得しかないので、「世界一富める国の世界一富める王室」なのではなく、「王室は特権を利用して世界一富んでいるが、人民はそうではない」ということが言える。この程度の内容の批判とも言えないようなことでも、タイではフェースブックで疑問を呈するだけで先日も「不敬罪」として人民が捕まってしまった。(現在の病気がちな国王の人気は絶大だが、次の国王となる王子の人気は相当に酷いので、より締め付けが厳しくなっているのも事実だ。)

 

 

 残念ながら、今日のタイ王国は「微笑みの国」ではないと感じる人が多い。(実際にタイ人の多くはそう微笑まない。お金に対してはニヤニヤするが)

 日本の半分程度の人口でありながら、日本の倍の殺人事件が起きているタイ王国。王室は世界で最も富めるが、貧しいがために夜の街角で客を引く多くの売春婦たち。

 

 「微笑みの国」や「極楽」などという売り文句は、旅行会社や広告会社の怠慢であるのではないか。そんなことまで考えさせられる、「タイ王国の映画の前の国王のブランディング広告」は今日も続いている。

 

本日もご覧いただき、ありがとうございました。

ブログ・ランキングのバナーをクリックしていただけると励みになります!

 

王制とか、日本のとか、面倒ですね。クリックお願いします!

ブログランキング・にほんブログ村へ