旅するスケッチ・ブック  『SKETCHTRAVEL』

 

 世界71人の著名な絵描きたちが、(元)ピクサーの堤大介さんとジェラルド・ゲルレの呼びかけで、途上国に図書館を作るためのチャリティーのために、手渡しで世界を旅するスケッチ・ブックに絵を描いて貰った集大成がこれ。

 

スケッチ・トラベル
スケッチ・トラベル

 

 郵送によらない「手渡し」ということで、結果として4年半もの歳月がかかったが、チャリティーの結果、オリジナルのスケッチ・ブックは7万ユーロで落札され、さらに9冊のサイン入りのスケッチ・ブックが6000ユーロで落札された。カンボジアに2館の図書館を建てることができたというドリーム・プロジェクトである。(本書の中にはNGOの代表が5つの図書館をたてられるという言葉があるが、実際にラオス・カンボジア・スリランカ・ネパール・ベトナムに、5館の図書館を建てたという。)

 簡単に何枚かの絵を紹介すると、




カルロス・ニーネ Carlos Nine
カルロス・ニーネ Carlos Nine
ブックを受け取った翌日には仕上げている、さすがの存在感のジョン・ハウ John Howe
ブックを受け取った翌日には仕上げている、さすがの存在感のジョン・ハウ John Howe
How to tame the Dragon などでもお馴染みのニコラス・マーレー Nicolas Marlet
How to tame the Dragon などでもお馴染みのニコラス・マーレー Nicolas Marlet
大御所フレデリック・バック Frederic Back
大御所フレデリック・バック Frederic Back

 最後は、日本アニメーション界のみならず、実写映画を含めた日本映画界の興行成績でもダントツの記録を残して引退をした、宮崎駿さんのイラスト(というより作品)で飾られている。当時の宮崎さんは「風立ちぬ」の製作中であり、彼のイラストはその「風立ちぬ」の絵なのだが、静止画の中で「風が吹いているさま」をしっかりと描き上げているのは、さすがの手腕である。そもそも「風」という目に見えないものを「静止画」で描くのは、大変な筆力を要するのだろうが、彼は難なくそれをやり遂げている。50年に渡るアニメーション制作の現場を勤め上げた職人の力量を見せつけている。

 

取りは宮崎駿さんの「風立ちぬ」のイラスト
取りは宮崎駿さんの「風立ちぬ」のイラスト

 

 私は発売とほぼ同時にこの本を手に入れた。その後、私の手元のスケッチ・トラベルは、日本から中国へ、そしてタイ王国へ、さらに日本へと旅をしている。

 さて、本書のプロデューサーの一人である堤大介さんは、ロバート近藤さんと共に、オスカーにノミネートされた18分間の短編アニメーション映画The Dam Keeperを撮っている。iTunes上で300円でダウンロード販売されている。堤さんの作品らしく、「光と影」の描写が美しい。今の所、英語版のみ。(20151016日現在)

堤さんの奥さんは、トトロのメイちゃんのモデルだって