Moleskine ~ 人生という旅を供にするノート

 

 初めて買ったモレスキンのノートは、シンプルな黒いハード・カバーのプレイン(白紙)ノートだった。かれこれ10年以上前のことになる。

 

 以来、自分で使うために各種サイズのプレイン・ノート、方眼ノート、蛇腹ノート、スケジュール帳、絵画用厚紙ノート、レポーター・ノート(縦開き)、プロフェッショナル・ノートなどを使ってきた。黒のハード・カバーだけでなく、限定版のノートやソフト・カバーのノートなど、近年はバリエーションも増え顧客層も広げている。人様にプレゼントしたものも加えると、100冊は下らないモレスキンを買ってきたことになる。

 

 モレスキンのノートの特徴は、その「うっすらと黄ばんだ紙のノートにポケットが付いており、さらにゴムひもでノートが開かないように留められる」という点にある。このノートに類似した機構を持つノートは幾つもあるが、このノートを超えるノートは少ない。それだけ、「収納ポケットがありゴムひもで留めるノート」のスタンダードとなっているのだ。

 

 生産地が中国になったりすることもあり、明らかに紙質が落ちたりすることもあった。万年筆で書くと昔のモレスキンの紙は裏抜けが少なかったのであるが、品質(紙質)の劣るモレスキンに当たってしまうと、裏抜けが多く、万年筆での筆記を断念しなければならなった。

 

 しかし、他のノートを使ってみても、やはりどこかで「モレスキンが恋しい」と筆を持つ手がいうことがある。それだけ、この「しっかりと開き、書くのが楽しく、旅先で集めた紙などを貼り付けていくことのできるノート」は、他のノートでは取って代わることのできない存在感を心の中に占めることに成功しているのだ。

 

色々あるのは良いが、まずは基本の紙質の維持はして欲しい。 (画像:モレスキンのサイトより拝借)
色々あるのは良いが、まずは基本の紙質の維持はして欲しい。 (画像:モレスキンのサイトより拝借)

 黒カバーのノートしかなかった頃からのユーザーからすると、近年のバリエーションの豊かなノートや、ブランド拡張のアパレル化は、「少々やり過ぎなのではないかな」と感じなくもないが、黒いハード・カバーのノートが中心にどっしりと鎮座している限り、また戻ってくるべきノートの世界がここにはある。

 

 使い始める前には、「借りてきた猫」のようにお行儀よく座っていたモレスキンも、長旅を経て使い終わる頃には、すっかり「うちの猫」のように慣れ親しんだ存在になっている。きっと老後になって、思うように身体が前に進まなくなった頃に、人生を振り返りながらモレスキンの頁をめくるのだろう。

「借りてきた猫」と「うちの猫」状態    (画像:モレスキンのサイトより拝借)
「借りてきた猫」と「うちの猫」状態    (画像:モレスキンのサイトより拝借)

 日本のアマゾンだと、ラージ・サイズ(実際には中くらいのサイズ)のノートが2千円ちょっとで手に入る。モレスキンの正規通販サイトだと、2800円強。

 ちなみに、お隣の中国だと正規店では300元(約6千円)で売られているので、「気軽に使うノート」としては高い。

 

 

モレスキン、紙質の改善なるか