ロシア語圏の人の心には、チェブラーシカが住んでいる

 

 ロマン・カチャーノフ監督のパペット・アニメーションの「チェブラーシカ」が日本でも劇場公開されてから15年ばかり経つ。旧ロシア連邦時代の名作であり、その後のロシアでは、実写映画を含めて、この作品を超える作品が撮られてきていないのではないかというほど、チェブラーシカが打ち立てた壁は高い。

 かつて、映像の配給は日本での代理店をチェブ・プロジェクトなる会社がやっていたのだが、現在はスタジオ・ジブリの名作ライブラリーに収まり、ディズニーから発売されているようだ。

 

チェブ・プロジェクトのHP

http://www.cheb-project.com/

気になるDVDと人形などのコレクターズ・ボックス

 ロシア語で「ばったり倒れ屋さん」という意味の、猿に似ているが正体不明の動物のチェブラーシカ。日中、動物園で「見世物のワニ」として働くワニのゲーナと友人になり、一緒に家を作ったり旅をしたりとちょこまかと動き回る。人に迷惑をかけるのが大好きな魔女のような老婆のシュパクリャクなど、個性的なキャラクター造形も優れている。

 

 さらに、ゲーナのオルガンにのせて歌う、哀愁にあふれたメロディーの歌が格別だ。「誕生日が毎日だったら良いのに」という歌など、かつてはロシア人の家庭では子供の誕生日を祝う際によく歌われていたそうだ。

 

 実は、日本で綺麗にリメイクされてもいるのだが、ロシア語の独特の響きがなくなり、またトーンもすっかり別物となってしまっているので、元のチェブラーシカ好きな人はややがっかりさせられる。

 

 チェブラーシカ好きの人は、訪露の際、ついついチェブラーシカのグッズを現地で探してしまうのであるが、古いアニメーションなのでロシアのどこにでもそれが売られているという訳ではなく、あったとしても品数は限られている。また、人形などについているタグをよくよく見てみると、「中国上海市宝山区」の会社が作っているなど、メイド・イン・ロシアではないものがほとんどだ。

 

 ロシアのクレムリンに面した赤の広場にあるGEM百貨店には、高級目の玩具屋があり、そこでもいくつかチェブラーシカのグッズは扱っていた。GEMの高級そうな袋に入れてもらい、少しチェブラーシカとゲーナが頭を覗かせているので、すれ違う人々は「あの東洋人、チェブラーシカとゲーナを持っている」と気にしているのがよく分かる。地下鉄でもロシア人からのチラ見が絶えない。

 

歌う、しゃべる、トーキング・トーイ
歌う、しゃべる、トーキング・トーイ
GEMの袋から少し顔を覗かせるチェブラーシカとゲーナ
GEMの袋から少し顔を覗かせるチェブラーシカとゲーナ

 

 ロシアやロシア語圏の人々と話す時に、「チェブラーシカ好きなんだ」と口にすると、みな一様に自分の家のペットを褒められたかのような嬉しそうな顔をする。名作の新作が作られることはないが、旧ロシア連邦時代から、チェブラーシカはロシア語圏の人々の心にずっと住んでいるのだ。日本人の心の中に、ドラえもんやトトロが住んでいるように。

 

 

手作り玩具は、やや不細工なのもブサかわいい。
手作り玩具は、やや不細工なのもブサかわいい。

 

 

チェブ、可愛すぎる。