ロシアとフィンランドの国境沿いの静かな町

 

 「ヴィボルグ(Vyborg)」という言葉を聞いて、一体どれだけの日本人がピンとくるであろうか。これは、フィンランドとの国境沿いにあるロシア側の町の名である。また、ロシアとフィンランドとの間には国際鉄道が走っているが、ロシア側の最後の駅がこの町にあるヴィボルグ駅となる。

 

 

町の玄関口、ヴィボルグ駅
町の玄関口、ヴィボルグ駅

 

 

 ここからフィンランドへと向かう列車に乗る場合、ヴィボルグ駅の構内にて出国手続きを済ませることになる。小さな田舎町の小綺麗な駅舎の2階に、出国手続きをする税関のオフィスがあるのは、いささか不釣り合いな気もするが、ロシアという比較的排他的な国の国境を抜ける際の手続きがここで行われている。


 逆に、フィンランドからロシアに入ってくる鉄道に乗っている場合、鉄道車両にロシアの税関職員が乗り込んでくることになる。フィンランドの民主的な雰囲気を漂わせた国境・税関職員とは対照的に、ロシアのそれはやや官僚的というか、ロボットのように冷たい目をした人が多いのが印象的だ。

 

 

片田舎の駅であるが、構内も美しい
片田舎の駅であるが、構内も美しい

 

 しかし、国境を警備する職員や兵士とは対照的に、ヴィボルグの町の人々はゆったりとした町の人々らしく、暖かい眼差しを持った人が多い。この町に東洋人が歩いていることは少ないので、アジア人は逆に目立つ存在となる。

 

 

 では、ヴィボルグになにか見所があるかといえば、「特に何もない雰囲気を楽しむ」ということだろう。町を代表する観光名所といえば小さめの砦と海へと通じる川であるが、それも「世界に名をはせる」というほどのものでもない。

 

 

 しかし、小高い丘の町には、それなりに古い建築物も点在し、歴史は浅くない町であることが分かる。何日も連泊するほどの見所があるわけではないが、ロシアとフィンランドの間に途中下車して、「国境」という人間の共同幻想について思いを馳せたり、町の美しい女の子たちを眺めたりして過ごすのは悪くない一時だ。

 

 「再訪したいか?」と問われれば、友人になった女の子には逢いに戻ってみたい気もするし、気の良い町の人々から可愛がられていそうな野良猫たちをまた観に行きたい気もするが、ヴィボルグの町自体は一度で十分という、良くも悪くも国境沿いの田舎町である。

 

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