ヘル・ファイヤー・パス・メモリアル・ミュージアム

 

 タイ王国はカンチャナブリー県にある死の鉄道の触りを書いた。

 

 415キロに渡って施設された鉄道路線は、戦後にそのままタイ王国の鉄道網に吸収された部分もあれば、廃路となり線路は資源として利用されたので、今日ではタイ・ミャンマー間を繋ぐ鉄道は残っていない。

 

 

 カンチャナブリー市のクウェイ川を跨ぐ橋は現役の鉄道路線の一部として活躍しているが、多くの戦時捕虜が命を落として建設に関わった「死の鉄道」の大部分が、彼らの命と共に森の中に一時期の記憶として失われてしまった。

 

 

 当時の戦時捕虜の生き残りの有志と、オーストラリアが出資して建てられた「ヘル・ファイヤー・パス・メモリアル・ミュージアム」は、カンチャナブリー市から更に80キロばかりミャンマーへと向けて山道を分け入ったタイ王国の軍事基地の中にある。

 

 

 カンチャナブリー県には、数段の滝のあるエラワン国立公園など名前の知れた国立公園もあるが、地獄の炎の通り道(ヘル・ファイヤー・パス)と呼ばれるほどに、激しい暑さと建設の難易度を極めた「死の鉄道」の区画には、亡くなった人々を偲ぶミュージアムがあり、線路がなくなった後の山道を歩くこともできる。

 

 本来、全長4キロの山道を歩くことができたのであるが、なぜかタイ王国の軍事暫定政府は2.5キロの道から先を封鎖してしまった。軍事政権のやることは意味不明なことが多いが、ここでもそれは垣間見られる。

 

 

 カンチャナブリー県の日中の暑さはかなりのもので、片道だけで車にピックアップしてもらうのならまだしも、往復歩き通そうという場合には、水を持って行った方が良い。

 

 

 また、ミュージアムでは英語・ドイツ語・日本語・タイ語などのオーディオを無料で貸し出しているので、これは借りて行くべきだろう。プロのナレーターによる音声だと思われる品質の良いレコーディングで、戦時中の捕虜たちの大変さをよく伝える解説が聞ける。

 ただ漫然と歩くのもよいかもしれないが、このオーディオの情報を合わせて歩くのとでは理解が断然違うので、是非ともオーディオを借りていこう。

 

 

 ただ歩き通すだけでも大変な山道なのだが、ここで栄養失調と体調不良に苦しみながら、裸足で身につけているものは褌(ふんどし)だけだった捕虜たちからすれば、何の労働も強いられていない参観者のしっかりとした靴を履いた「優雅な散歩」などは、なんの苦役でもない。

 

 

 本来であれば、オーストラリアではなく、日本が出資をしてこうした施設を運営しておくべきであるが、現状はそうした状況にはない。

 

 

 このミュージアムの良いところは、タイ王国でも日本でもない第三国であるオーストラリアが出資・運営しているというところにあるのかもしれない。残念ながら、中国の「南京大虐殺記念館」は共産党政府の恣意的な情報演出(及び操作)が盛りだくさんになっており、情報の公平性に欠ける。

 

 

 カンチャナブリー県の山奥までいく時間のある人には、このミュージアムを訪れることを勧めたい。できることなら、「戦争を美化する人々」は、一人残らず訪れて欲しい場所だ。

 

 

 「死の鉄道」は、有名な『戦場にかける橋』や『The Railway Man』として映画の題材にもなっているので、これらを観てから訪れてみるのも良いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らの安らかな眠りを願う