タイ王国南部クラビ県のランタ島オールド・タウン

 

 ランタ島の東部には、「オールド・タウン」と呼ばれる地区がある。しかし、「タウン」とはいうものの、面の広がりは乏しく、実際には線状の「ストリート(通り)」に近い。マレーシアはペナン島のジョージ・タウンのような町を期待して行くと実に肩透かしなのだが、このオールド・タウンならぬオールド・ストリートは、それはそれで郷愁を誘う雰囲気がある。

 

 

 ここには海に面したレストランが数件建ち並び、そのどれもがゲスト・ハウスも併設している。海上のレストランでは、すぐ近くの海で採れた海鮮料理から通常のタイ料理、モスリム料理まで楽しむことができる。

 

 

 ランタ島についた夜、オールド・タウンの通りを歩いていたら、とある店の招き猫に呼ばれてしまった。

 

 

 入ったお店の古き良き内装に魅了され、何品か食事をオーダーしたのだが、どれも手を抜かない美味しい料理であった。海老はしっかりと身が豊かでかつ引き締まっており、首都バンコクや北部で食べる申し訳程度の腑抜けた小さな海老とは食感がまるで異なる。バンコクでは高級店でないとこうした海老は食べられないし、値段はかるくランタ島の数倍はするだろう。

 

 

 

 料理と内装の気に入ったお店の名は、ビントー(Pinto)というのだが、かつての段々式のお弁当箱のことをタイ語でこう呼ぶ。

 

 ビントーはオールド・タウンの通りを隔てて、海側にレストランとゲスト・ハウスを経営しており、母屋の方はより内装が昔気質のレストランと住宅という作りになっている。ここには2泊3日のランタ島滞在中、夕食2回、お茶をしに一回足を運んだ。招き猫は夕食どきに母屋の近辺にいることが多い。

 

これがビントー(Pinto)。弁当に発音が似ている。
これがビントー(Pinto)。弁当に発音が似ている。

 

 ビントーを気に入った理由はいくつかある。まず、招き猫。そして、内装の雰囲気の良さ。さらに、料理がリーズナブルで美味しいということ。手を抜かずに料理を作っているのがよく伝わってくるが、客が多い時期には料理がサーブされるまで相当待たされる気もする。

 

 というのも、客が他に誰もいない時でもオーダーしてから30分は料理を待ったので、駆け足の旅行者の食事には、この店は向かないかもしれない。

 

 

 ランタ島が美しいのは、海が綺麗な日中ばかりではなく、夜もまた良い。しっかりと、「夜が暗い」のだ。多くのネオンや車・バイクがひしめく街だと、夜空を見上げても綺麗な星空を見ることはできないが、乾季のランタ島では美しい星空を楽しむことができる。観光客が多く押し寄せる年末・年始やクリスマスなどのハイ・シーズンを避けるべきなのは言うまでもないけれど。

 

 

 

 

 

 

 オールド・タウンがホイ・アン化してしまう前に