変わりゆくカオサン通りと、変わらないもの

 

 タイ王国はバンコクにあり、世界中からのバックパッカーたちを集めてきた安宿街(であった)カオサン通りでも、安宿が次第に減りつつある。

 

 かつては数十バーツでドミトリーの部屋に泊まることができたカオサンであるが、今日ではドミトリーでも200バーツ前後はみておかないといけない。

 また、カオサンとは思えない宿泊料のホテルも増え、一泊2000バーツも下らないホテルがあるなど、かつてのカオサンを知る旅人からは、その変わりように溜息が漏れる。

 

 

 しかし、カオサンの若者たちを集める吸引力はいまだに健在であり、カオサンが最も華やぐ週末の21時過ぎから明け方の2時にかけて、カオサン通りとお隣のランブトリ通りは、多くの旅行者や地元の若者たちでごった返し、12時を回る頃から地べたで泥酔する若者たちがこの通りに彩りを添える。

 

 カオサン通りでは、夕闇の迫る頃から、フルーツ屋台、安くそこそこデザインの良いTシャツの露店、いつ揚げたのか分からない怪しい昆虫などを売るゲテモノ屋台、安く腹にたまるタイ料理を食べさせる露店などが、通り沿いのバーやクラブに負けじと、逞しく商売を始める。

 

 また、このカオサン近辺は、さすがにバンコクらしく、多くのゲイやおカマがナンパやナンパ待ち、逆ナン(?)を繰り広げており、それを商売にしているレディー・ボーイの娼婦(男娼)が虎視眈々と酔った旅人を狙い立つ様は、さながら妖艶な舞台に怪しさを添える端役の役者たちのようだ。

 

 

 一通りカオサンを楽しんだあと、酔い潰れて泥酔している無防備な旅行者の若者を見るにつけ、「貴重品はちゃんと管理しておきなよ」、「おカマに持って行かれないように気をつけな」と心の中で呟く自分は、在りし日のカオサンに郷愁を抱きながら、若い友人たちとの談笑に寂寥をごまかす、中年の異邦人となっているのであった。

 

カオサン近隣のリノベーションは進む