蜃気楼のような街、デュバイ。

 

 日本語表記だと、「ドバイ」と呼ばれるのであろうが、英語だと「デュバイ」と呼ばれ、どちらかというと英語発音の方がしっくりくる。ここではひとまず、ドバイ首長国の街「デュバイ」と呼んでおこう。つまり、「ドバイ」のことです。ややこしいけれど。

 

 かつて、といっても近現代まで、人口数十万人の小さな漁村に過ぎなかったデュバイの「町」であるが、1966年にデュバイ沖の海底油田が見つかったことにより、この「町」は「街」へと急速に変貌を遂げた。すでに人口250万人の「中規模の都市」へと変貌している。

 

 ドバイ首長国は、1971年のイギリス軍のスエズ以東からの撤退後、他の首長国6カ国と共に「アラブ首長国連邦」を結成した。原油に依存した国家運営だと、いつかつまずくと考えたドバイの首長は、デュバイに金融センターや経済特区を設け、多面的な発展をしようと舵をとった。今日では石油産業のGDPに占める割合は僅か1%というから驚きである。

 てっきり「石油の成金ネーション」かと考えていたが、実は石油以外の産業でしっかり儲けているとのことだ。

 

 デュバイの街に立つと、産業を多角化し、儲けた金をドバドバと注ぎ込み、あれよという間に現れた高層建築の林立する様は、まるで蜃気楼を見ているかのような錯覚を覚える。確かに、そこに高層建築群はあるのだが、光の屈折などでそこにはないものが見えているのではないか、というような、どうも釈然としない感覚に陥るのだ。

 日本のように油田のような分かりやすい資源が無い国では、コツコツと物作りをし、「顧客の創造」を長い時間をかけて行い、サービスを洗練させ、ゆっくりと着実に産業を築いていくことが、いわゆる「まっとうな仕事の工程」であると考えられている節がある。

 

 しかし、デュバイの場合は、地中に眠っていた石油を掘り起こし、それを転売しただけでその後のビジネスの元種となる富を得てしまった。それをテコに、金融・観光・建築・貿易・運輸・製造などに産業を一気に多角化させた。

 

 今日、デュバイの顔となっている世界で一番の高層ビルのブルジュ・ハリファはよく知られており、世界で二番目に背の高いビルも、産油国マレーシアの石油会社ペトロナスのツイン・タワーのビルである。

 

 

 デュバイのナショナル・フラッグであるエミレーツ航空は、金にものを言わせ、世界最大の旅客機であるA380をプラモデルでも買うように大人買いし各地に飛ばしている。

 

 また、デュバイの街は、かつて世界中の大型クレーンの数分の一がここで稼働していたと言われるほど、これでもかというほどに巨大で奇想天外な建築物で溢れている。世界中から観光客を呼び込むために、戦略的に奇想天外な街作りを進めているデュバイは、どこか蜃気楼のように「煙に巻かれるのではないか」という気のする街である。

やはり、どこか違和感を覚えるデュバイ。