ドローン戦争とその倫理を描く、『Eye in the Sky』 (2015)

 

 戦争・戦闘の形態が進化している。かつては「点と点」の衝突であった戦いが、「線と線」への部隊戦闘になり、やがて「面と面」の戦闘へと進み、いよいよ戦闘形態は3Dの「空間戦争」から「無人機による空間戦争」へと変容している。最終的な空の戦いである核戦争は「広島と長崎」を除いてまだ起こっていないが、各地でドローンによる戦いが始まっているという。高城剛の『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?』によれば、アメリカ空軍の持つ機体の3割が既にドローンであるという。

 

 マレーシアのマラッカにて、2ヶ月ほど前に『Eye in the Sky』を観た。無人偵察機であるドローン、空爆用の大型ドローン、衛星からの敵地の監視、小型(鳥型)ドローンや超小型(昆虫型)ドローンによる偵察といった近未来のドローン戦争が描かれていた。

Eye in the Sky (2015)

R | 1h 42min | Drama, Thriller, War 


Director: Gavin Hood

Writer: Guy Hibbert (screenplay)

Stars: Helen Mirren, Aaron Paul, Alan Rickman

 

 本作、『Eye in the Sky』というタイトルから、「神の視点」をどうにも想起させられるが、この視点を獲得したのが人間であるということが、物語に奥行きと戦争における倫理の問題を考えさせられる。

 

 本作では空爆のターゲットを各種ドローンで捕捉し、空爆するというミッションが描かれているのであるが、「ターゲットのいる側に無垢の民間人がおり、巻き添えを食わせてしまう可能性が高い」という状況がある。その中で、政府・軍部首脳陣がどのように意思決定をしていくかが見せ所となっているのであるが、観終わった後にも考えさせられる「戦争倫理」の問題が見事に描かれている。

 イギリス映画だけあり、アメリカ映画や中国映画のような「自己肯定ばかり」という訳でないところが良い。この映画を観た後に、アメリカ人の幾ばくかの人々が、「広島と長崎でアメリカ空軍がしたこと」に想いを馳せ、倫理の異なるパースペクティブを持ってくれればとも思う。

 戦争サスペンス映画なのであるが、実際の戦争においてここまで丁寧に「民間人の命の保証」が議論されているのか、疑問に残るところはあるが、この映画の主題としている「ドローン戦争」と「戦争における倫理」は見事に描かれていた。

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