数年前に、寝台夜行列車で中国広西省の南寧からベトナムのハノイへ向けて旅したことがある。中国からベトナムへと鉄路で越境するルートは、かつては雲南省の南端の町・河口からもあったが、ここしばらくその路線での越境は分断されている。
中国は陸路で十数ヶ国と国境を接しているが、鉄道で越境できるのはモンゴルとベトナム、北朝鮮のみである。中国国内には日本と比肩するほどの、そして運行速度では日本を凌駕するほどの高速鉄道がすでに走っているが、諸外国と鉄路で結ぶ路線は、昔ながらの「中国鉄道車両」が走っている。車体からすると、今日の中国の「快速列車」程度の古いが剛健な車体だという印象を受ける。
中国の国歌の歌詞が「思い切り抗日」だということは、中国語を学んだことのある人は知っているかもしれない。しかし、自称「中国通」という日本からの駐在員であっても、中国語を学ぶ意欲が一切ない場合には、意外に知らなかったりする。
以下がその歌詞だ。
起来!不願做奴隷的人們!
把我們的血肉、築成我們新的長城!
中華民族到了最危険的時候、
毎個人被迫着発出最後的吼声。
起来!起来!起来!
我們万衆一心、
冒着敵人的炮火、前進!
冒着敵人的炮火、前進!
前進!前進!進!
(日本語の字体での表記)
これを日本語に訳すと、こんな感じになる。
<中国国歌:義勇軍進行曲 日本語訳>
立ち上がれ!奴隷となることを望まぬ人々よ!
我らの血肉をもって新たな長城を築こう!
中華民族に最大の危機がやってきた、
全ての者が最後の雄叫びをあげる時がきた。
立ち上がれ!立ち上がれ!立ち上がれ!
我々の万人が心を一つにし、
敵の砲火をくぐり抜け、進め!
敵の砲火をくぐり抜け、進め!
進め!進め!さあ進め!
北京の地下鉄網は2008年の北京オリンピックを界に急激に整備が進み、今日では世界でも地下鉄網が発達した地域となった。同様に2010年に万博を開催した上海でもそれを契機に地下鉄の整備が一気に進み、上海の街には総延長距離で東京を超える程の地下鉄網が整備されている。
かたや、イギリスの統治下時代に一足先に地下鉄が引かれていた香港では、そう目立った地下鉄の延長工事はないのであるが、それでも北京・上海、そして香港の地下鉄を乗り比べてみるとその「乗客サービスの基本理念」の違いがはっきりと肌で感じられる。
マカオにて、現地在住の友人に連れられ、大型ホテルの無料送迎バスと有料路線バスを駆使し、マカオの中を6時間ばかり駆け足で見て周った。やはり地元を知悉する友人が一緒だと動くのが楽だ。たったの6時間の滞在でも、自分だけなら2日はかかるような工程をスムーズに移動し楽しめた。
大陸の景気が急激に減速し、カジノの収入も前年割れ数十パーセントというマカオ。それでも、まだまだこの地を訪れる人は少なくない。むしろ、マカオの面積や見所の割に、以前は訪問者が多過ぎたとも言える。
少し落ち着きつつあるマカオにおいて、旅人にとってマカオ観光に便利な移動手段がある。それは大型ホテルの無料送迎バスだ。
カジノの太客(大金をカジノで使うお客)ならまだしも、一般的な旅人にとって、マカオの物価は高く感じるのではないだろうか。なにせマカオの物価は香港より高いほどである。
北京から快速列車の硬座席に座り、13時間55分もかけて遼寧省は丹東(ダンドン)の街にやって来ました。今回は丹東の街の様子をお伝えします。
さて、北京から14時間ほどかけ、夜行列車に揺られてやってきた丹東。ほとんど眠ることができず、他の乗客もさぞ疲れていることであろうと思うが、はたから見ていると皆わりと元気だ。長時間の列車の旅に慣れているのであろう。いやむしろ、14時間の列車の旅というのは、中国大陸では「そう長い旅路でもない」と認識される。24時間以上だと、「さすがに長いね」となるが。
丹東の駅は、中国のどこにでもある地方駅という趣で、ここからすぐ目と鼻の先に、北朝鮮との国境があるという緊張感は特になかった。
北朝鮮と陸地で国境を接する国は、世界に三つある。
韓国(南朝鮮)、ロシア、そして中国だ。
北朝鮮の最大の支援国である中国は、南の韓国同様、北朝鮮と比較的長い国境線を接している。目視するだけでも、韓国と北朝鮮の国境の二倍以上の長い国境線だ。毛沢東による文化大革命時代など、かつての中国も今日の北朝鮮同様に途方もなく貧しい時期もあったが、現在では世界第二の経済大国である。それが「外見だけの張りぼてかどうか」はひとまず置いておいて、総和では世界第2位であることは疑う余地はなさそうだ。
前回から、香港北部にある「慈山寺」について書いています。
予約時間になり、一人一人予約の番号とIDを確認し、慈山寺の寺門を潜る。山の斜面に建てられた慈山寺の参拝は、座禅や瞑想のコースに申し込まなければ、小一時間もあれば済むだろう。寺の細部までじっくり観て周るとなると、それはまた別の話であるけれど。
何年か前、北京の王府井書店だったか、はたまた西単の書店であったか忘れてしまったが、1936年頃の「北京の街とその風俗」を描いた地図、『老北京風俗地図1936』を買った。ここに描かれているのは、80年以上も前の北京である。1936年といえば、その頃の「北京」は「北平(ベイピン)」と呼ばれていた頃だ。
2010年6月に売り出されたこの地図の複製は、10元と気軽に買える価格ながら、異邦人の興味をかりたてる、かつての北京(北平)の街並みが描かれている。この時代の北京の街並みは、街の基本構造以外、もうほとんど過去のものとなってしまっているのであるが。
北京で2−3人で羊肉を食べようという時、観光スポットとしても有名な前海・后海の間の銀錠橋に近い、開業160年以上の歴史を誇る「烤肉季(カオロウジー)」には何度も足を運んだ。
それなりに歴史のある店でありながら、前海・后海の散策のついでに、肩肘張らずに普段着で入ることができ、物価の高騰した北京にあって、料理の質を考えるとまだリーズナブルだと思えるのだ。
前回の「物価の高い北京の無料観光スポット2〜オリンピック公園」、
そして前々回の「物価の高い北京の無料観光スポット1〜国家博物館(国博)」
の続きです。
今回は北京市のやや郊外、市の北東に位置する「798 芸術区」に関して。
前回の「物価の高い北京の無料観光スポット1〜国家博物館(国博)」からの続きです。
「物価の高い北京の無料観光スポット」の「2」として、今回は北京市(中心部)の北部にある「オリンピック公園」をあげよう。
すでに何度も北京を訪れている人や、中長期の滞在者には役に立たないが、「初めて北京を訪れる」という人の参考にはなりそうな「無料観光スポット情報」を備忘録代わりに記しておこう。「1・2・3」と3つのパートに分ける。今回は初回の「1」です。
世界最悪レベルの「空気汚染国家」として名を馳せている大国のインドや中国。世界の人々のなんと九割が、「空気汚染の深刻な地」で暮らし、年間700万人もの人々が「空気汚染が原因の各種疾病」で命を落としているという。中国大陸だけでも、年間160万人という膨大な数だ。
日本で暮らしていると、そうした「空気汚染が深刻な地がある」ということを忘れてしまいがちだが、日本から一歩海外に足を踏み出すと、大抵の途上国では空気汚染が深刻であり、また先進国でも空気が汚染された街は、まだ多い。
旅人や海外で働く人々に必携の無料のアプリ、「空気汚染指数」を手軽にチェックするアプリを紹介しておこう。
北京の冬の風物詩といえば、凍りつく川や湖がある。最低気温が氷点下となる日が多い冬場、人々がせっせと道端に吐き捨てる痰すら、路面のあちらこちらに凍りついている。春の訪れとともに、河川や湖の氷が溶け出す頃に、冬の間凍っていた道端の無数の痰も溶け出すのだ。想像するだけでやや気が滅入るけれど、それが北京の冬である。いやはや、本当に。
12月16日に世界公開された『ローグ・ワン:スター・ウォーズ』を2Dと3Dでベトナムにおいて二度観てきた。
まず、2D版を中部都市のダナン(Da Nang)で観たのであるが、ベトナム人には中国大陸人よりも躾のなっていない人々が多く、劇場内は終始騒がしく、映画を鑑賞しにきたのか、自分の忍耐心を試しに来たのか分からない感じであった。ベトナムは中国大陸を20年遅れて追っているような社会である。
少し価格の高い3D版(それでも85000VND、約425円)を数日後の平日にわざわざ観直しに行った。幸い、ホーチミンの生まれ故郷であるビン(Vinh)の駅前にできたロッテ・シネマでは、行儀の悪いベトナム人の他の観客を気にすることなく、3Dの『ローグ・ワン』をほぼ劇場貸切で堪能することができた。
ただ単に、駅前にできたばかりのモールへの客の入りが悪かっただけであるが。
「建築家のザハ・ハディド氏が他界して」という感慨を書いた。
韓国にはザハ・ハディド氏による「東大門デザインプラザ(DDP)」という巨大な建築物がある。中国にはハディド氏による3つの建築物が残されている。まず広州には劇場が設けられ、首都北京には「銀河SOHO」と「望京SOHO」という二つのSOHO群がある。
とある天気の良い日に、ザハ・ハディド氏の大陸で最も新しいプロジェクトである2013年末に竣工した「望京(わんじん)SOHO」を訪れたことがある。
2016年3月末、建築界を驚かすニュースがあった。気鋭の女性建築家ザハ・ハディド氏が気管支炎で死去したのである。1950年10月末生まれ、まだ60代も半ばであったという。2020年の東京オリンピックの新国立競技場を設計し、その案が採用されたものの、建設予算が当初見積もりよりも高くなるということで、採用が白紙撤回され、日本人建築家の隈研吾さんの案に落ち着いたことは記憶に新しい。
今後、彼女の新しいプロジェクトが日本で誕生することはないだろう。