アニメーション界では伝説的な作品となっている、押井守監督の『攻殻機動隊』は、国内外のクリエイターに多大な影響を与えた作品として名高い。欧米のライブ・アクション(実写版)の映画監督たちの多くにも影響を与え、押井守監督を崇める国際的に著名な監督も少なくない。あの『マトリックス』の緑の数字や文字がコロコロと変わるデジタル映像も、この『攻殻機動隊』へのオマージュとさえ言えるだろう。
2017年、ハリウッド版の実写映画である『攻殻機動隊』がリリースされ、劇場で観るタイミングを逃したのでDVDで観た。今回、1995年のオリジナルの『攻殻機動隊』を観直し、2017年の新しいそれと観比べてみた。
先日のアカデミー賞の作品賞を受賞した『ムーンライト』。
アカデミー作品賞の発表の際に、『ラ・ラ・ランド』と間違えて発表されてしまい、『ラ・ラ・ランド』陣を歓喜させた後に、「すみません、実は『ムーンライト』でした」、という悲喜こもごものオチをつけることになったアカデミー賞の授賞式は、今後も語り継がれることであろう。
この『ムーンライト』を韓国はソウルのロッテ・ワールドにて観てきた。
蛇足であるが、ソウルのロッテ・ワールドのシネマには、ギネス・ブックに登録されているという「世界最大のスクリーン」があるらしい。『ムーンライト』の公開は、普通の「そこそこ大きなスクリーン」であったので、この「世界最大のスクリーン」を堪能することはできなかった。といっても、巨大なアイマックスのスクリーンで観るような内容の作品でもないが。
インド観光庁が打ち出している「インド観光の標語」は、タイ王国のそれである「Amazing Thailand(驚くべきタイ王国)」をもじったような、「Incredible India(信じられないインド)」というものである。
タイ王国を訪れても、「驚くべき(Amazing)」面は、経済発展と共に随分と影を潜めているが、一方でインドの「信じられない(Incredible)」面は、まだまだ健在であり、年間8万人もの子供が迷子や人攫いによる誘拐などで行方不明になっているという。8万人!
中途半端なミュージカル映画で感動することは難しい。しかし、昨年末にベトナムにて事前情報を持たず、時間調整のために期待せずに観た『LA LA LAND』が快心の作であった。まず、オープニングの渋滞シーンから幻想的なシーンへと移行するビジュアルに、観客は釘付けになるだろう。
つい先日には、ゴールデン・グローブ賞を7部門獲得したとニュースになっていたのも記憶に新しい。日本では「ゴールデン・グローブ賞7部門獲得作品!」と喧伝されるであろうことは容易に想像がつくが、そもそも賞争いというのは、その年の他の映画が豊作であったかどうかにも関わってくるであろうし、ビジネス的な配慮が働くこともある。特に日本の賞はそうした傾向が強い。
12月16日に世界公開された『ローグ・ワン:スター・ウォーズ』を2Dと3Dでベトナムにおいて二度観てきた。
まず、2D版を中部都市のダナン(Da Nang)で観たのであるが、ベトナム人には中国大陸人よりも躾のなっていない人々が多く、劇場内は終始騒がしく、映画を鑑賞しにきたのか、自分の忍耐心を試しに来たのか分からない感じであった。ベトナムは中国大陸を20年遅れて追っているような社会である。
少し価格の高い3D版(それでも85000VND、約425円)を数日後の平日にわざわざ観直しに行った。幸い、ホーチミンの生まれ故郷であるビン(Vinh)の駅前にできたロッテ・シネマでは、行儀の悪いベトナム人の他の観客を気にすることなく、3Dの『ローグ・ワン』をほぼ劇場貸切で堪能することができた。
ただ単に、駅前にできたばかりのモールへの客の入りが悪かっただけであるが。
2016年の邦画は、話題作が多い。『シンゴジラ』のヒットの後、新海誠監督の『君の名は。』が公開され、大当たり。日本国内だけで興行収入200億円も視野に入ってきているという。
10月末、ハロウィン前日に台北101の近くで、『君の名は。』を観た。320台湾ドル、約1000円にて。
2016年、本年はまだあと4ヶ月ほど残り時間があるが、 「2016年最高のアニメーション映画作品」となりそうなものを観てしまった。それは、『Kubo and the two strings』である。マレーシアのクアラルンプールのNU Sentralにて、RM11(約280円)という破格にて。
ロバート・ルドゥラム原作の映画化、マット・デイモン(Matt Damon)主演のThe Bourne Identity (2002)、The Bourne Supremacy (2004)、The Bourne Ultimatum (2007)の三部作に続くJason Bourneシリーズの最新作。
まことに慎みのない話で恐縮だが、私の母はオナラがすごい。「すごいオナラ」をする普通の人は、もうすでに「普通の人」ではないのだろうか。私の親類一同で唯一、とてつもない頻度で放屁をし、その一発一発のクオリティが高いことで、名を馳せている。
かつて、母が青山にある大手広告会社で働いていた時のこと。トイレでオナラをしたら、壁の隣の男子トイレの方から「おおおお!」と驚いた男性社員の声が聞こえたということだ。その話を「まいっちゃうわよ」と言いながら笑いながら話していた。「まいっちゃう」のは驚かされた方や家族なのだが。幸い、子供にはその「すごいオナラ」は遺伝で伝わっていないので、助かった。いや、ほんとうに。
世界公開が4月からであったディズニーの『ジャングルブック』が、いよいよ日本でも8月11日に公開されるという。自分は4月に観ていたので、「また日本の観客を待たせ過ぎている」という感がどうしてもつきまとう。
日本の映画市場は世界でも特殊で、その高い映画鑑賞代金の割に、映画の公開は世界を回って最後の最後という場合が多く、国によってはもうそろそろDVDやBlu-rayが出回る頃というケースも。とにかく、遅いのだ。
本作『ジャングルブック』もその例外ではない。
戦争・戦闘の形態が進化している。かつては「点と点」の衝突であった戦いが、「線と線」への部隊戦闘になり、やがて「面と面」の戦闘へと進み、いよいよ戦闘形態は3Dの「空間戦争」から「無人機による空間戦争」へと変容している。最終的な空の戦いである核戦争は「広島と長崎」を除いてまだ起こっていないが、各地でドローンによる戦いが始まっているという。高城剛の『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?』によれば、アメリカ空軍の持つ機体の3割が既にドローンであるという。
マレーシアのマラッカにて、2ヶ月ほど前に『Eye in the Sky』を観た。無人偵察機であるドローン、空爆用の大型ドローン、衛星からの敵地の監視、小型(鳥型)ドローンや超小型(昆虫型)ドローンによる偵察といった近未来のドローン戦争が描かれていた。
いわゆる「超能力」を持つ8歳の少年をめぐり、養子として引き取られていた新興宗教団体と警察の両方に追われながら、実の父親と国境警備隊の友人、そして実の母親と共に「少年の指定する場所」へと向けて旅をするロード・ムービー。
旅をするにつれて、次第に少年が「自分の存在の意味」を理解し、「自分の帰るべき場所」を認識していく。それが何であるかは映画を観てのお楽しみ。
前作『Captain America: The winter soldier』がエンターテイメント作品として傑作であっただけに、期待値が異常に高かった本作。
珍しく日本公開が早く4月末、世界公開は軒並み5月に入ってからであった。各国で興行ヒットを連発している。2週間ばかり前に、今年の映画の興行トップ5に入るであろう本作『Captain America Civil War』を観てきた。
中国大陸の映画で、久々に良い映画を観ることができた。
これは、大陸人にとっても「ほとんど観る価値のない映画」「途中で投げ出したくなる映画」「時間と金を返して欲しくなる映画」、「ある意味、観ることが拷問にすら感じられる映画」「党のプロパガンダ臭がプンプンする映画」などが量産されている昨今の大陸の映画界において、特筆に値する。
説明するまでもないが、ドリーム・ワークスによる世界的ヒット作『カンフー・パンダ』の三作目。バンコクのパラゴンにて200バーツ(666円)にて鑑賞。邦題は『カンフー・パンダ3』。オリジナルの「クンフー」通りでも良いと思うけれど。日本公開は2016年夏とのこと。これまた日本の観客を待たせ過ぎ。
2月初旬から世界公開されている『デッドプール』をベトナムで観てきた。
55000VND(約275円)にて。
日本公開は少し先の6月になるという。世界的にみても映画の鑑賞料の高い日本において、こうだけ面白い作品を数ヶ月も待たせるのはどうかと思う。駄作ならまだしも。