北京で2、3人で羊肉を食べるなら

 

  北京で23人で羊肉を食べようという時、観光スポットとしても有名な前海・后海の間の銀錠橋に近い、開業160年以上の歴史を誇る「烤肉季(カオロウジー)」には何度も足を運んだ。

 

 それなりに歴史のある店でありながら、前海・后海の散策のついでに、肩肘張らずに普段着で入ることができ、物価の高騰した北京にあって、料理の質を考えるとまだリーズナブルだと思えるのだ。

 

 北京で最も名を馳せている羊肉の店といえば、おそらく羊肉のシャブシャブを食べさせてくれるチェーン店「東来順(ドンライシュン)」がある。

 

 もう少し安価なところだと、「小羊羊(シャオヤンヤン)」などもある。しかし、どちらも食後には服にかなりの羊肉特有の臭いがつき、少人数では余り点数をオーダーできない。その上、近年は値段がみるみる高くなっている割には、味の方の向上がみられないのだ。

 

 ここで紹介する「烤肉季(カオロウジー)」でも値上がりがあり、さらに円安のダブル・パンチで、円換算した場合の料金は上がってはいるが、それでも値段の割には満足のいく味を以前と同様に保っているようだ。

 ここの看板料理は、小さな鉄板に調理済みの羊肉が載せられた「烤羊肉(カオヤンロウ)」である。さらに、熱々の状態で最後まで食べられるよう、テーブル・キャンドルの上にかけられ、視覚的にも楽しめる「烤羊肉」であるが、この料理は23人でシェアするのに丁度良い量だ。

 メイン・ディッシュとしてこの「烤羊肉」をオーダーする場合、100元ほどのシンプルな「烤羊肉」がオススメである。ウェイトレスは「148元、198元のスペシャルなのにしますか?」などと聞いてくるが、ここは「最も安価な100元のもので十分に美味しい」ということを憶えておこう。

 

 中国大陸では、高いからといって値段に比例して美味しくなっていくとは限らない。メニューの後ろの方には、6888元(約11万円)と無闇に高い白酒など、大陸にありがちな「面子を立てるための価格設定」がしてあるものもある。

 

 23人であれば、この通常の烤羊肉に、野菜炒めなどを二品、お好みでご飯をつけて、飲み物は「王老吉(ワンラオジー)」などで済ませると良いだろう。中国大陸の麦酒は、水のように気の抜けた味の物が多いので、がっかりさせられるからだ。

 さて、「烤肉季(カオロウジー)」の良いところは、その割とリーズナブルな料理と味の高さだけでなく、そのロケーションが「古き良き北京をギリギリなんとかして感じることができる」場所にあることだ。

 

 少し東に行った「地安門外大街」を越えると、そこは北京で有名な胡同の地区になり、かの有名な映画スター(明星)輩出校である「中央戯劇学院」のメイン・キャンパスもある。地下鉄の延長とともに、このエリアの昔ながらの胡同も急激に姿を消してしまった。想像力を働かせながら、かつてそこに存在した「美しい胡同の町並み」を夢想して歩くのも良いだろう。(在りし日の胡同を知っていると、その余りの変貌に虚しくなるのだけれど)

 

かつての美しき北京を想いながら。