中国の国歌の歌詞が「思い切り抗日」だということは、中国語を学んだことのある人は知っているかもしれない。しかし、自称「中国通」という日本からの駐在員であっても、中国語を学ぶ意欲が一切ない場合には、意外に知らなかったりする。
以下がその歌詞だ。
起来!不願做奴隷的人們!
把我們的血肉、築成我們新的長城!
中華民族到了最危険的時候、
毎個人被迫着発出最後的吼声。
起来!起来!起来!
我們万衆一心、
冒着敵人的炮火、前進!
冒着敵人的炮火、前進!
前進!前進!進!
(日本語の字体での表記)
これを日本語に訳すと、こんな感じになる。
<中国国歌:義勇軍進行曲 日本語訳>
立ち上がれ!奴隷となることを望まぬ人々よ!
我らの血肉をもって新たな長城を築こう!
中華民族に最大の危機がやってきた、
全ての者が最後の雄叫びをあげる時がきた。
立ち上がれ!立ち上がれ!立ち上がれ!
我々の万人が心を一つにし、
敵の砲火をくぐり抜け、進め!
敵の砲火をくぐり抜け、進め!
進め!進め!さあ進め!

これは日本人としては、なかなかに頭がクラクラする内容の歌詞ではあるが、曲(音楽)は客観的に「よい曲だな」と個人的には思う。(こんなことを書くと、ネトウヨの皆さんにお叱りを受けるかもしれないが)。
「国際的な運動会」であるオリンピックの時などには、人口が多くスポーツ選手の育成も英才教育である中国の国歌は、メダル獲得数に準じて頻繁にかかる訳だが、中国選手としては、「この歌を聴くとアドレナリンが分泌されて競技への士気が上がる」というものだろう。あるいは、「これで中国に帰ったら英雄扱いされて、今後は広告収入などでウハウハだ」と将来の生活の安泰に胸をときめかせているのであろうか。

片や、日本の国歌の様にスロー・テンポで「天皇の長寿を願う気持ち」を切々と唄いあげる歌は、競技の前にはどうも向いていないような気もする。特にオリンピックのようなスポーツ大会では、どうだろう。
中国の「抗日」の国歌、そして日本の「天皇の長寿を願う歌」。人間の共同幻想である「国家」に付随する「国歌」とは、どこも似た様なレベルのものが多いのかもしれない。
国家とは、「人々の共同幻想」なのだからして。
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