中国大陸には、多くの地域で食べられている「羊肉串(ヤンロウチュアン)」がある。イスラム教徒の多い新疆ウイグル自治区や内モンゴルは言わずもがな、中国人で「羊肉串」を知らない人はいない。

日本ではそうメジャーな食べ物ではないが、中国大陸では、気軽な食事や酒のつまみのスナックとして、肉や野菜、海鮮類を串で刺し、そのまま練炭や炭の炎で炙って焼いた「焼烤(シャオカオ)」という形態の食べ方が今日でもポピュラーである。
夏場には夜になると、暑さを凌ぐために屋外、時には屋内でも上半身裸で焼烤をほうばる現地人は多い。冬場に氷点下まで気温の下がる地域では、屋内で麦酒や白酒と共に愉しむのがスタンダードだ。

羊肉串には、思い切り脂身の部分もあり、脂肪の気になる人は、その部分を食べないで残しても特に問題はない。また、焙りたての羊肉串は表面に多くの脂が浮いているので、屋外での外食の場合には、周囲を確認し、一二度串を地面に向けて振り、脂を少し落として食べるのがスマートである。
夏の夜や冬場になると、電飾に灯り夜道に浮かび上がる「串」というネオンが食欲をそそる。近年、物価の上昇により焼烤も高くなった。値段の上昇だけでなく、羊肉のサイズが小さくなるなど「実質的な値上げ」も多く見られる。以前は一串一元以下で食べられた、庶民食であったが、今日では3元以下で食べられることが少なくなってきている。

日本もすっかり秋めいてきた。朝晩は冬の気配を感じることもある。肌寒くなってくると、「そろそろ、羊肉串が食べたいな」と大陸を想うのである。

羊肉串に辛椒はお好みで
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