中国のインターネット:WWWではなくNWW

 中国大陸では、「国家のため」という名目のもと、実のところ「体制を守るため」という目的のために、多くのインターネット上のサービスが利用することができず、発足当時は中国でもアクセスできたウェブ・サービスや情報が、当局の恣意的な判断によって急に接続を断たれることは日常茶飯である。

 

 また、軍部に属すると言われるネットワーク上の公安部隊は、日々大陸内の情報のやり取りを監視しており、「社会に対してインパクトのある人」ともなれば、その情報通信の内容は、ほぼ丸裸にされて多数の公安に検閲されていると見るべきである。

 どうしても諸外国で利用できるインターネット上のサービスを中国大陸で使いたい場合、VPNなどを使ってアクセスすることとなるが、そのVPNも万能ではなく、多くの場合、ネットワークに接続できなかったり、できてもすぐに接続が途切れるといった不具合が多発する。

 

 こうした環境下では「ネットワークに繋がることの負荷が高すぎ、ネットワーク上で本来する予定の業務をするだけの気力も体力も消耗してしまう」という悪循環に陥る。知的な生産をネットワーク上でしようと試みる人々にとっては、「中国のインターネット」は、非常に「強固で厄介なボトルネックを抱えている」と言わざるを得ない。

 

 

 本来、ウェブ上のURLにあるwwwとは、World Wide Web(世界規模での情報網)を表す略語であるが、中国のそれはNational Wide Webnww、国内限定の情報網)となってきており、またそのNational(国内)の範囲でさえ、情報の開示や送受信にたいする阻害が強固となりつつある。今日使えているサービスが、いつ当局の判断によって遮断されるかわからないのだ。

 

 

 こうした「ネットワーク上の不便さ」による中国大陸の人民の被る不利益は、経済的にも莫大な損失となっていることは容易に想像できる。自称「人民への奉仕者」たる人々には、こうした環境を改善するつもりは毛頭ないようだ。むしろ、残念なことに「締め付けと情報操作を強固にしていこう」という趨勢であり、「ネットワークをより自由な環境にして、中国大陸の人民の生産性をあげることに寄与しよう」という方向には向かっていない。

 

 

 GoogleFacebookTwitterDropboxYouTubeBBCなどの各種ニュース・サイトなど、大手のサービスでも情報が遮断されているサイトは挙げればきりがない。表向きには別の適当な理由が発表されているが、これらはどれも「当局の検閲と意向を汲んでくれないサイトなので、体制への言論が統制できない」というのが最も大きな遮断理由であろう。

 

 言い換えると、「中国当局は他者の批判を各種メディアを通じて総合的・包括的にするが、他者が当局の批判をすることは個別のメディアですら許さない」ということである。それはまるで、「お前らの批判は国を挙げてするが、お前らは俺の悪口を言うことは認めない」という良識のない子供のような論理である。

 

 こうした環境で育った人々が、世界の人々と同じ感覚で物事を考えられるようになるのかどうか、大きな疑問が残る。多くの大陸人の人格形成に根深い悪影響があることも、「中国のインターネット」を管理する人々が産み出した「悪しき副産物」であろう。

 

 今日、香港の民主を守ろうというデモに対して、大陸の人々の多くが、「なんてわがままな香港人たちなんだろう」と見ているのは、頭の中の回路にまでNWWが浸透し、残念ながら「人権を守る」という考え方ができない大人が大多数であることの証左なのであろう。

 

中国のネットワーク管理は厳しくなるばかり

そのほかの「中国の記事」