越境する船旅の愉しみ(フィンランド・エストニア)

 

 北欧諸国の東端フィンランドから、バルト三国の最北端のエストニアの間の往来には、陸路でロシアを経由せずとも「船旅」という手段がある。しかも、陸路よりも船旅の方が格段に速い。ヘルシンキからエストニアの首都タリンまで、わずか2時間ばかりでついてしまうのだ。逆もまた然り。

ヘルシンキのフェリー乗り場 改札口
ヘルシンキのフェリー乗り場 改札口

 ヘルシンキ−タリン間は約80キロの距離なので、平均時速は約40キロの船旅である。徐行した車のような速度で静かな海を走る大型客船の旅は、かつて飛行機よりも船が世界旅の主流だった頃の旅人たちと、時を超えて心を通わせることができるような気がしてくる。

 

 大型客船にはレストランや免税店、子供達のプレイ・ルームやアーケード・ゲーム・センターまであり、かつての船旅より、ずっと快適過ぎるのではあるが。

揺れの少ない大型客船での旅は、海の上にいることを忘れてしまいそうだ。
揺れの少ない大型客船での旅は、海の上にいることを忘れてしまいそうだ。

 ヘルシンキ−タリン間を運行するフェリーは、主に3社から運行されているようだ。最も便数が多く1日に7便以上を運行するタリンク、1日3便ほどのバイキング・ライン、そして週に14便のエッケローがある。どれに乗船してもハズレはないようだ。

 

 これらの船会社の名称だが、ヘルシンキとタリンの間を結ぶので「タリンク(Talink)」という名はすぐに憶えてしまえるし、北欧諸国の人々は「バイキングの末裔」という考えもあるので、「バイキング・ライン」という名も容易に頭に入ってくる。もう一つの「エッケロー」は馴染むのに少し時間がかかったが。

 

 私はタリンクの客船を利用したことがあるが、ヘルシンキの港に停泊する水上10階ほどもある大型フェリーは、巨大で重厚な建築物のように感じられた。その巨大な建造物が「海面に浮いている」という事実がどうも実感として湧かず、なんだかガリバーが小人の世界に紛れ込んでいるような、場違いなような気さえする。巨大な船舶が港に停泊する様は、ただただ圧倒される風景であった。

陸地を走る車や歩行者の後ろに巨大な船が見える。
陸地を走る車や歩行者の後ろに巨大な船が見える。
世界最大の旅客飛行機A380に乗るよりも、こちらの客船の方がワクワクする。
世界最大の旅客飛行機A380に乗るよりも、こちらの客船の方がワクワクする。

 

 日本からも韓国や中国、極東ロシアには船による越境ができるルートがいくつかある。いずれ便利な飛行機ではなく、多少不便で時間がかかっても、船での旅をしたいと思わずにいられない。

 

 

船旅もいい

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