洪水すら観光資源にする、たくましいベトナム人

 

 ベトナムの観光名所である世界文化遺産の「ホイアン」。ベトナム第三の都市であるダナンから南に30キロばかり南下したところにあるこの町に、なんだかんだとかれこれ5回は足を運んでいる。

 

 初めて訪れた際には、物価も比較的「ベトナム価格」であったが、ここ数年の観光地化によって一気に人の波が増え、旧市街の中心部から放射線状に物価がぐんぐんと上がっていってしまった。

 さて、もう三年前になるのだが、「洪水の真っ只中のホイアン」を訪れたことがある。ホイアンは排水設備が整っていないので、大雨が降ろうものなら、すぐに洪水になってしまうようで、地元ホイアンの人によると、「一、二年に一度は洪水になるよ」とのことであった。(まぁ、これはホイアンに限ったことではなく、ハノイやサイゴンといった大都市でも同じことではあるのだが。)

 当然、洪水なので観光客は少ない。場所によっては歩行も困難であり、多くの店が閉まっている。セルフィーに訪れる中国大陸からの団体客もめっきり少なくなり、普段は打ち込み系の電子音が鳴り響くバーも開いているのだかどうだかという感じで、濡れたホイアンの町はいたって静かだ。

 しかし、洪水の中でもベトナム人はたくましい。水に濡れることを楽しむ傾向のある欧米人でも躊躇するような、プールのように大きな水たまりにも、現地のベトナム人は平気でバイクで突っ込んで横断していく。あれはバイクのように見えるが、実は小型のサブマリーンなのだろう。

 さらには、観光客向けの渡し船や遊覧船が、洪水の中でもたくましく営業をしているのには、つくづく感心させられた。洪水すら見世物として金を取る、さすがベトナム人である。転んでもただでは起きない。「ちょっと水が多いから、一人20万ドンでいいよ」と言われたが、「ちょっと」じゃなくて「洪水」だろう。

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 観光化によって、節操のない電球の光で灯る提灯が増えてしまったホイアン。洪水の中のホイアンの町は、光の量も少なめで、停電した家では昔ながらのロウソクを灯しており、在りし日のホイアンを憶うには、ちょうど良い静かな夜であった。

 

 

 

またね、ホイアン。