「上水」にて、香港・中国らしい市場を歩く。

  

 香港の最北端、中国本土との境界線、新界(ニュー・テリトリー)のメトロ終着駅の「羅湖」と「落馬洲」から一つ手前に、香港と本土とを折衷したような町「上水」はある。

 

 メトロの終着駅である「羅湖」駅と「落馬洲」駅には、隣接する香港側の町はなく、中国本土の街への越境のための地なので、この「上水」駅は、現地の香港人からしても「事実上あと一歩で大陸、 香港最北の場所」という訳だ。

 

 豆知識だが、ここで一度途中下車すると、終着駅の「羅湖」と「落馬洲」まで直接向かうよりも、気持ち程度にメトロの料金が安くなることは、香港人の常識のようだ。

 

 さて、「上水」駅の周辺には、香港メトロの公団が開発したであろうマンション群、中規模なショッピング・モールがあり、「大陸からの客が欲しがるもの」、「大陸に持ち帰りたそうなもの」が売られている。これらは香港の中心地でも大体同じものなので、旅人の目を楽しませるものではない。

 

 ここで「ローカル感があり」、「旅人の目を引く」のは、何と言っても「地元民の胃袋を満たすための市場」である。「上水」駅からすぐの場所にある「石湖墟街市(石湖墟市場)」は、「かつての香港・中国らしいものが見たい」という旅人の心を(ちょっぴり)くすぐる場所である。

 石湖墟市場の地上階では肉や魚など「生鮮食品」の店が連なり、二階部分では「野菜や果物、花など」の販売店が並ぶ。三階には「フード・コート」が入るが、朝食・昼食以外の時間は割と空いている。というより、食事時以外は、かなり寂しくガラガラで、場末感満点である。

 

 ここの市場の魅力は、何と言っても地上階の「生鮮食品売り場」であろう。新鮮な牛や豚、鳥や魚などを店ごとにその場でぶった切って吊るしている。鳥などはまだ生きた状態で売られていることが多く、その場で捌いてくれるほどの鮮度の良さだ。

 

 日本のスーパーでは生鮮食品はパックに入って売られていることが多く、都会で育った子供たちは、元の食材が何であるか想像できない子も少なくない。

 

 

 しかし、この石湖墟市場では、「元の食材がリアルに何であるかが感じられる、中国・香港らしさ」の残る市場である。また、香港のこの手の市場は、大陸やベトナム、ラオスのこの手の市場よりも、衛生面でずっと清潔なのが良い。

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 これがベトナム北部の市場だと、「キィーキィーと泣き叫んでいる生きた豚」を市場で捌いていたりする。またすぐ横には「吊るされた食用の犬」が並んでいたりする、なかなかにハード・コアな市場もあるので、まずは「香港のこのレベルの市場見学」から始めるのが良いだろう。

 

 

命を食べていることが実感できる市場