2018年11月10日、バンコクのチャオプラヤー川沿いに巨大なショッピング・モールがオープンした。その名はICON SIAM(アイコン・サイアム)。
運営母体は、バンコク中心部のサイアム地区に「PARAGON」や「サイアム・センター」など高級ショッピング・モールを手がけるSIAM PIWAT(他二社)である。
ショッピング・モールとそれに隣接する70階建のコンドミニアム(マグノリアス・ウォーターフロント・レジデンス)との総事業費が15億USドルとのことで、日本と比べて物価が半分程度のタイ王国において、いかに巨大プロジェクトであるかが分かるだろう。(日本と同じクオリティの生活をするには、実はタイ王国の方がコスト高なのだが、それはここでは置いておく。あくまで「ローカル品質の生活は(比較的)安上がり」、ということ。)

実際にアイコン・サイアムに足を運んでみると、その箱型のショッピング・モールの大きさに圧倒される。
チャオプラヤー川対岸のやや下流のBTSサパン・タクシン駅近くの船着場サソーン・ピアから「無料シャトル船」に乗ってアイコン・サイアムに乗り付けると、とても風情があるが、普通に陸路でまだ開発途中の道路側から乗り付けると、日本の高島屋が店を構えるサイドからの入店となる。より趣を味わうには、チャオプラヤー川から、船で乗り付けるのがオススメだ。
さて、アイコン・サイアムの高島屋は、良くも悪くも、ここでも「日本の経営の延長線上」でやっており、一階と二階の食品売り場はモールの入り口なので客足が途絶えないが、それ以上の上層階は閑古鳥が鳴いていることが多い。天井もアイコン・サイアムの「神殿」と呼んでも良いほど豪快な高い天井とは打って変わり、高島屋のそれが低いのは残念としか言いようがない。
「異次元な高級感」を売りにしているアイコン・サイアムにおいて、かつて栄華を誇った日本の百貨店の縁にしがみついていてどうするのだろう、と心配になってしまう。アイコン・サイアム本体側の店舗の内装と比べると、高島屋サイドのそれは明らかに見劣りしてしまうのだ。
ひょっとすると、日本の百貨店の職員も、20−30代の人々の思い描くあるべき店舗像と、決定権のある40代以上のそれとでは大きく隔たりがあるのかもしれない。

ICON SIAMへは、船で行くのがオススメ。