もう少し間が欲しい、インドネシアの国立博物館

 

 「世界最速で沈む街」という汚名を享受するインドネシアの首都ジャカルタ。いよいよインドネシア政府も「水の下で業務はできないな」ということで、カリマンタン島に市民を置き去りにして逃げ出すことを決定した。

 

 そんなジャカルタの中心部、モナスのある広場の西側に、インドネシアの国立博物館はある。以前紹介した「インドネシア国立ギャラリー」とは、モナスを挟んでちょうど反対側にある位置付けだ。

 

 「インドネシア国立博物館」に足を運んでみると、白亜の立派な建物が西側からモナスを仰ぐように鎮座している。「東南アジア最大の人口を誇る大国の国立博物館だ」、と期待は高まる。入館料はインドネシア人料金と外国人料金で二倍ほどの開きがあるが、インドネシアにおいては「たったの二倍ならまだまだいい方」と割り切った方が良い。なぜなら、インドネシアにおいては国立公園や世界遺産などは、「外国人料金は現地人の十倍、二十倍」というふざけた設定もザラであるからだ。

 

 いざ、チケットを購入し、セキュリティ面でやや不安なクロークに荷物を預けて入館してみると、「所狭し」と古代から近代までのインドネシアの文化遺産が陳列されている。一階奥の古代遺跡のコーナーには、かつてインドネシア全域がヒンズー教の地域であったのを象徴するかのように、ヒンズー教関連の石碑や石造りのモニュメントがひたすら並ぶ。一つ一つの文化遺産に対するちゃんとした説明はなく、もうただひたすらに、ぎちぎちに並ぶ。

 

 二階以上に移動してみても、その傾向はそう変わらない。文化遺産がこれでもかと、ほとんどまともな説明なしに並ぶ。一応「インドネシアの衣装文化」「インドネシア各地の民族家屋」などの区分はあるが、それぞれの説明はほとんどなしだ。また、一つ一つの文化遺産を堪能する雰囲気はなく、多くの文化遺産がやはり「所狭し」と陳列されている。

 

 

 都合三度、この「インドネシア国立博物館」を訪れたことがあるが、一つ一つの文化遺産は大変に興味深いものがあるのだが、まともな説明抜きに空間を間引いて多くの文化遺産が展示されているので、どうにも消化不良な感じでこの国立博物館を後にすることになるのが、通例であった。

 

 もう少し展示数を間引いたとしても、「ちゃんとした説明」や「間を開ける」だけで、見違えるように伝わるものが多くなると思うのであるが。館長やキュレーターが変わらない限り、きっとまだしばらくは、「とりあえず所狭しと置いておく感じ」で行くのであろう。

 

 中には数千年前のジャワ原人の遺骨などもあるが、リスペクトが足らず、遺骨の主が泣いているように思えるのは気のせいだろうか。

間が欲しい。

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