ウブド市場の「平衡感覚の優れたおばさん」達

 

 前回、「やはり手強い、バリ島はウブドの市場」を書きました。今回はその続きです。

 

 ウブドの市場を彷徨っていると、しばしば目にするのが、「頭の上に荷物を載せて歩くおばさん達」である。たまに「おじさん」もいるが、圧倒的に「おばさん」の方が頭の上に物を載せて歩いているのが多いのは、なぜなのだろう。

 

 これはインドネシアだけでなく、ミャンマーやインドでもよく目にする光景であるが、頭の上に物を載せて歩くのは、どうやら男性よりも女性の方が多いようである。

 

 頭の上に物を載せて歩くのは、やはりかなりの平衡感覚が必要とされるスキルであると思う。小さな子供などはこれをやっているのをあまり見たことがない。しかし、妙齢の女性からお年寄りにかけて、頭の上に物を載せて歩く女性は少なくない。

 

 「頭の上に荷物を載せて歩く理由と効果」を考えてみると、以下のようなものがありそうだ。それは、混雑した道でも周りとぶつかることが少なくなり、また全身をバネのようにして歩くことによって、両腕で荷物を持った場合と比べ、少ない力でも割と重いモノが運べ、疲労も緩和できる、といったもの。

 これには実証実験が必要だが、普段「頭の上に物を載せて歩く必要性」を自分は感じないので、実感としてこの効用を感じられるのはずっと先のことになりそうだ。いやもしかしたら、ずっとないかもしれない。「日本人のおじさん」である自分が、カバンや荷物、スーツケースなどを頭の上に載せて歩いていたら、相当に奇異な目で見られそうである。下手をすると、警察に職務質問されるかもしれない。

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 日本・韓国・中国・台湾といった東アジアから中央アジアの国々では、こうして頭の上に荷物を載せて歩く人々をほとんど見かけないが、東南アジア・南アジアでは割と頻繁に目にする光景である。

 

 ウブド市場には、果物や魚、儀礼用の花飾りなどを売るおばさん達が、割とよく「頭の上に荷物を載せて歩いている」のであるが、その「運搬用のザルだったりカゴだったり」をひとまとめにして片付けている市場のおばさんがいた。

 

 彼女が運んでいるのは、おそらく空のカゴやザルなどであると思うが、数段重ねで頭の上に載せ、そのまま上層階へと登って消えて行く後ろ姿には、どこか神々しいものさえ感じさせる迫力があった。ひょっとすると、彼女には「ヒンドゥーの神」が宿っているのではなかろうか。「頭の上に荷物を載せて運ぶ神」とは、どんな神なのか知らないけれど。

 

 

 

両手を合わせて祈りたくなった。