韓国最南端の済州島にて、優しいマッコリの夜

 

 韓国の済州(ジェジュ)島は、一部の人々には「韓国のハワイ」と呼ばれるようだが、「全然違うよね」と思うのは自分だけではないだろう。なぜなら、済州島には済州島の良さがあり、ハワイにはまたハワイの良さがあるからだ。

 

 ソウルの友人を訪ねた折、「済州島に行こう」と誘われて、「では、行きますか」とその場で航空券をおさえた。済州島の空港の近くまでソウルの友人の旧知の仲である宿のスタッフが車で迎えに来てくれたので、それなりの広さがあるジェジュ島においても難なく宿まで向かうことができた。宿までの道すがら、地元の人たちに人気のある海鮮市場に寄り道し、新鮮な魚やイカを調達し、宿へと向かった。

 

 

 宿に着くと、気の良いオーナーが出迎えてくれ、早速宿のスタッフ全員(といってもオーナーの弟と済州島が気に入って居ついてしまった女性、それからオーナーの三人)も加わり、ソウルっ子の友人に済州島に毎月来ているという地方都市の優しい男性宿泊客、そして日本からお邪魔している自分とで「夕食兼酒盛り」の開始である。

 

 韓国語に不自由な自分のために、5人の韓国の友人たちは皆気を使ってくれる。英語で話せる部分は全部英語で話し、片言の日本語が使える人は日本語も交えてくれ、共通の言語を持たない人は写真を見せてくれたり、アホなキャラとしてボケに徹したり、初対面なのにも関わらず、なんだか懐かしい友人たちと再会したような雰囲気があった。こうした韓国の人たちの度量の深さや暖かさは、さすがだなといつも思う。

 宿に戻ってくる道すがら買ってきた魚は、さっきまで生簀で泳いでいただけあり、さすがの鮮度。イカのげそに至っては、切り刻まれた後でもまだ動いていた。口の中でもまだ動いているイカげそ。つい先ほどまで命があったイカの身体の一部を胃に流し込む。

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 乳酸菌が豊富だという韓国のお酒マッコリ(「マッコウリ」と呼ぶこともあり)。各地で異なる味のマッコリがあるというが、いくつか飲み比べてみたところ、自分は済州島のヨーグルトのような優しい味わいのマッコリが一番気に入った。

 

 取っ手の部分に指をいくつか入れて挟むマッコリ杯。マッコリを飲むための専用の杯だ。友人たちと楽しく乾杯の杯を重ねていく。なんだか昔の部族のような気分になる。やはりマッコリを飲むには、こうでなくちゃなという気がする。諸外国の韓国料理屋でも、ちゃんとしたお店ではこのマッコリ杯を用意している。

 宴も終焉を迎える頃、なんとサプライズで自分用にバースデー・ケーキとプレゼントを用意してくれていた。自分の誕生日がいつかなど、言った記憶がないのだが、韓国の友人はどこかでそれを知って、ちゃんと憶えていてくれたばかりか、済州島の宿の仲間たちとサプライズまで用意してくれていたのである。

 

 彼らとは、「国家」という「共同幻想の足枷」を超えて、いつまでも友人でいたいと想う夜であった。

 

 

マッコリ杯、買おうかな。