色々とゆるい、ラオスの古都ルアンパバーン

 

ラオス北部の世界遺産の古都ルアンパバーンは、とある旅行誌の指標にて、欧米人の若者の間で「最も訪れてみたいアジアの町」に選ばれたという。

 

実際にルアンパバーンを訪れてみても、初めは「なんでここが?」という印象を持つのであるが、二日三日と滞在するうちに、「確かに居心地がいいかも」という感慨に変わる。そして、そのままずるずると1週間以上滞在する旅人が多いのだ。

 

 

しかし、正直に言ってしまうと、ルアンパバーンには「これ!」といった見所があるわけではない。早朝の托鉢を観るのは面白い、川下りをするのもまぁ面白い、近場の滝まで遊びに行くのも良いだろう。日の出を丘の上から眺めるのも悪くない。しかし、それらはどれも「格別!」というほどのものではなく、また他の街でもできることではある。

 

畢竟、ルアンパバーンの居心地が良いのは、「ものすごく特別な物がなく、全体的にゆるいから」だと言えるかもしれない。長期滞在する旅人にとって、滞在費用が嵩む町は落ち着いていられないが、安宿だと5ドル程度でシングルの部屋にも泊まることができる。多くの場合、スタッフはラオス人だが、中国人経営の安宿も増えてきた。

 

ルアンパバーンの町には、他の有名観光地によくいる、ゲンナリするほどに執拗な物売りはおらず、声をかけてきても「要らないよ」と言えば直ぐに退いてくれる。夜市の多くの少数民族の物売りは、こちらから値段を聞かない限り、静かにそこに座っているだけだ。あまり商売っけがない。中には10才にも満たない、店番だけ任されているような「小さな可愛い物売りさん」たちもいる。値段のかけひきがまだ下手で、すぐに値が下がってしまうゆるさだ。

 

 

食事は2ドルもあれば済ますことができ、メコン川沿いのリバーサイドのレストランでも、町中のレストランとそう物価が変わらない。宿泊費と合わせても、最低10ドルあれば一日が過ごせる。また、宿のスタッフや経営者と仲良くなると、無料で自転車やバイクを貸してくれたり、彼らの食事に招かれることもあるので、滞在費用の総計はみるみる減っていく。

 

マッサージは過当競争からか、こちらも5ドルもあれば一時間のボディ・マッサージを受けることができる。学費を稼ぐために働いている苦学生の若い女の子だと、マッサージがやたらと下手だったりするのがご愛嬌だが、その辺もゆるくてよい。

 

どこの街でもマッサージが上手いのはレディー・ボーイたちなのだが、男性客だと往々に余計な場所までマッサージしてくるので、女性を選ぶのが無難である。実際、王宮の博物館の裏手にあるマッサージ屋で、私はレディー・ボーイに当たってしまった。

 

店先でレディー・ボーイがいるのを目にしていたので、「本物の女性のマッサージ師をお願いします」「女性だよ、女性」と最初に受付でちゃんと言っておいた。受付のゆるい感じの子は「オッケー」とのことだったが、部屋に入ってきたのは店先で見たレディー・ボーイであった、あの「オッケー」はやはりゆるかった。

 

そこで「本物の女性にチェンジして」と依頼するのも流石に悪い。本人はただ女性の身体に生まれてくるべきだった性同一性障害の人かもしれない。そんな男女差別はよくない。マッサージがちゃんとしていればいいのだ。我慢しながらマッサージを受けると、やはり次第にマッサージしなくて良い場所まで触ってこようとする。「あー、そこはマッサージいらないよ」と自分の詰めの甘さを悔やみながら、早く時が過ぎるのを祈った。

 

ルアンパバーンの町に300人だかいる僧たちは、境内に集まる犬や猫を家族のように可愛がっており、見知らぬ旅人が近づいてきても警戒心を表さない犬猫が多い。特に警戒心が強くなりがちな猫がリラックスしている町は、とても良い町に思える。

 

寺院を訪れても、若い僧たちが隠れて携帯ゲームに勤しんでいる「ゆるさ」も心地よい。一つ一つの寺院が目立って「すごい」というほどでないのも、実にゆるいのだ。僧たちの読経の時間でも、旅人はふらりと境内に立ち寄ることができ、写真の撮影もフラッシュさえ焚かなければ、咎められることはない。

 

町の中心部にある国立ミュージアムは、もともと王宮であった場所であるが、お隣のタイの王宮とは比べるべくもないほどに小さなものであり、内容もこれまたゆるい。館内は写真撮影禁止なのであるが、写真を撮られてしまうと中身が無いことがばれてしまうからではないか、と邪推してしまうほどだ。

 

 

 

村上春樹もゆるんだ、ルアンパバーン

 

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