世界遺産の街マラッカ、都市開発は2.0から3.0へ。

 

 「マレーシアの古都、世界遺産の街マラッカ」について書いています。

 

  

 前回、「マラッカを台無しにしている典型例」として、リクシャー軍団がマラッカの街の空気をどれだけスポイルしているかを書いた。今回はよりハードな事例を紹介しよう。それは、「都市開発」である。

 

 マラッカの旧市街の周囲でも、かねてから「都市開発」の波はあった。旧市街の東側には高層コンドミニアムも何棟か建てられ、その付近にはモノレールの路線も敷かれている。

 

 モノレール路線が街の東側に敷かれはしたものの、そのまま休業状態に陥ったのは、「行政の読みの甘さ」による「さもありなんというオチ」であるが、近年、東側の地区よりも大掛かりな「都市計画」が進められている。

 

 その「都市開発」とは、旧市街の南側の地区、そしてマラッカ海峡に突き出した離島の再開発である。

 

 ハッテン・グループなるシンガポール資本の不動産会社が、この地域の「都市開発」に力を入れている。第一段階であるマラッカでは高級ホテルになるハッテン・ホテル、隣接するショッピング・モールはすで稼働している。

 中国大陸からの団体旅行客を見込んだのか、ハッテン・ホテルやショッピング・モールには大型バスの停車場が幾つも用意されているが、大陸経済の不調と大陸からの客にとって、「買うものが乏しいショッピング・モール」のために、モールの中はすでに閑古鳥が鳴いている。

 

 中国の「一衣帯水」戦略の中で、「マラッカを重要拠点にする」という中馬条約が結ばれたらしいが、習近平になってからの中国は諸外国との契約を反故にする癖があるので、このマラッカの拠点もどうなるか雲行きが怪しくなってきた。

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 さて、ハッテン・グループによる「都市開発」の中で、今日あるホテルやショッピング・モール群はまだまだ氷山の一角であり、南側と離島の地域の再開発が、彼らにとっての「本格的なプロジェクト」であることが、ハッテン・グループの新規リゾートやコンドミニアムの販売をする営業員からの話で分かった。

 

 ハッテン・ホテルや近隣の客足の少ないショッピング・モールの中を歩いていると、ここそこに「不動産プロジェクト」のブースを眼にする。すでに閑古鳥が鳴いていて、人影もまばらで寂しい大型施設の近隣に、より大がかりな「街づくりのプロジェクト」が進行しているのである。

 

 数年内に建設が終わるというプロジェクトの概要を聞いてみると、離島にはリゾート型のコンドミニアムとショッピング・モールが建設され、予約販売の部屋は、そこそこ売れているという。

 

 しかし、リゾートにはショップの数だけで500もの店が入るというが、すでにオープンしているハッテン・ホテルの近隣のショッピング・モールの中だけ見ても、客はほとんどおらず閑散としているのに、さらに多くのショップをこの地域に誘致しようとしているのが不思議でならない。実にシンガポール的な、野心的なプロジェクトである。

 コンドミニアムのプロジェクトにも、階下には多くのショップやシネコンプレックスが入るという。すでに閑散としているショッピング・モールにも呼び水となるのか、客の奪い合いでさらに閑散としてしまうのか、先行きがやや心配な大型プロジェクトである。

 マラッカの海辺は、お世辞にも美しい浜辺ではない。人混みの間を縫うようにして寝そべらないといけないタイ王国のパタヤ・ビーチやジョムティエン・ビーチ、それなりに美しいビーチを持つが有名になりすぎて交通渋滞すらおきているプーケット島のような都市開発を目指しているのかもしれないが、「海辺」も同時に開発するとなると相当な資力が必要となる。

 

 また、あれこれと人工的に街をいじり続けることにより、マラッカの旧市街もよりスポイルされてしまうのではないかと気がかりである。

 ハッテン・グループのプロジェクトが途中で頓挫しなければ、もう20年もすると、マラッカの景観はガラリと変わっていることであろう。20年前のシンガポールと今日のそれとでは、様相を異にするように。

 

 

 

大陸のように不動産廃墟の山とならないことを祈ろう