ミャンマー:バガンのノマドな物売りの子供たち

 

前回のブログ「ミャンマー:バガンが暫く世界遺産にならなかった理由」からの続きです。

 

 

世界遺産の町バガンには、数千もの遺跡が点在するが、多くの観光客が決まって押し寄せる仏塔・寺院というのは、実の所数えるほどである。

 

というのも、3000もの仏塔や寺院が残されたバガンなので、その全てを観て周るというのは、滞在時間が限られた観光客にはほぼ不可能なことであり、また大きな仏塔や寺院を観た後には、小さな仏塔や寺院だとインパクトに欠けるので、次第に「目新しいものや歴史的に重要なもの、アクセスが容易なもの」を集中的に観て周るようになるのである。

 

そんな遺跡ばかりのバガンにおいて、オールド・バガン地区のいくつかの遺跡には、バガンを訪れた観光客が「決まって訪れる、見えないルート」が出来上がっているようであり、そうした重点的な仏塔や寺院には、観光客を主なターゲットとした物売りの姿も見られた。

 

ミャンマーの物売りの男女比の統計を採った訳ではないが、89割は女性の物売りではないかという印象を持った。また、途上国にありがちなことであるが、物売りの手伝いをさせられている子供たちの姿が多く目につくのも、ミャンマーの悲しい現実であった。ヤンゴンやマンダレーといった都市部の子供達が学校に通っているような時間帯に、世界遺産の町バガンでは、同年代の子供たちが物売りとして日々働いているのである。

 

 

中学生か高校生ぐらいの物売りになると、旅人たちと不自由なく英語での値段交渉ができるようになっている子も多く、実践で磨かれた英語力と交渉力を備えている子がいる。

 

とあるオールド・バガンの遺跡でのこと。中高生ぐらいの物売りの女の子たちと顔見知りになった。彼女たちとは他の遺跡でも顔を合わせ、「また会ったね」と随分と打ち解けることができた。なぜ最初に会った遺跡以外でも顔を合わせるかというと、バガンの移動式の物売りたちはフットワークが軽く、「その時々に観光客が最も多い遺跡」を移動しているのであった。

 

明け方から昼にかけて観光客が多い遺跡、夕暮れ時に観光客が夕日を見るために訪れる遺跡、夜のライトアップに冴える遺跡といった具合に、「良い波を求めて浜辺を移動するサーファーたち」のように、「良い観光客の波」を逃さぬよう、彼女たち物売りも移動しているのである。

 

彼女たちは目が良く、遠くからも「おーい、おみやげ買ってー」と自分を発見して呼びかけてくる。お土産と言っても、彼女たちの扱うのは「ミャンマーの観光地のポスト・カード」や「旅を続けるには邪魔になりそうな工芸品」なのであるが、向こうもそう本気で売る気がないのが面白いところである。

 

あるいは、「こいつは買う気がないな」「この旅人は買いそうだな」というのを瞬時に見抜き、自分の場合は「ただの暇つぶしの話し相手」として認識されていたのかもしれない。

 

中高生ともなると、恋人がいたりもする。「ボーイ・フレンドはいるの?」と尋ねると、中の一人か二人に恋人がいた。「ボーイ・フレンドは何をしている人?」ときけば、「僧侶」との答え。ミャンマーやラオスの仏僧は、恋人を持つことができるのである。「異性に触れることを禁忌」としているお隣のタイ王国の仏僧とは異なり、ミャンマーやラオスの仏僧は「普通に恋愛もする」というのが面白い。

 

とはいえ、タイ王国の仏僧でも、信者から集めたお金を派手に使って遊んでいる高僧も多いので、どちらもやっていることは似たり寄ったりなのではあるが。

 

 

次のブログ「バガンで出会った物売りの女の子」に続けます。

 

みんなが元気でいるといいけど

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