ミャンマー旅の盟友ローゼンという男の一端

 

前回のブログ「ミャンマー:マンダレーの丘に登る」からの続きです。

 

マンダレーの丘を下り、入口の「土足預かり屋」にて無事に土足を回収し、日の傾いたマンダレーの街を宿に向けて戻る。ここで靴がなくなっていると、宿まで裸足で帰らないとならず、また「マンダレーで靴を買う」という想定外のタスクも増えるので、何かと面倒である。

 

旅人ローゼンと宿の近くの適当なレストランに入り、他の客に混じって夕食を摂る。自分は初ミャンマーだということもあり、ローカルのビールを飲んでみたいと思い、早速マンダレー・ビールを注文した。ローゼンにも飲むかと聞いてみると、「俺は酒は飲まないんだ」との意外な回答。

 

ジムで鍛えたマッチョな体型、ぱっと見、元プロレスラーのThe Rockこと俳優のドウェイン・ジョンソンや、元水泳選手で英国俳優のジェイソン・ステイサムといった筋骨隆々系のタフガイを思わせる容姿とは裏腹に、なんと全く酒を飲まないとのこと。ドウェイン・ジョンソンはテキーラのブランドをプロモートしているので、時折テキーラを飲んでいる写真なども公開しているが、旅人ローゼンは酒を口にしないという。

 

 

ローゼンは元々、南米キューバに生まれたという。キューバといえば、ドイツ人の映画監督ウィム・ベンダースの映画『ブエナビスタ・ソシアル・クラブ』を観て以来、いつか行ってみたい国のリストに常に入っている、文化的に興味深い国だ。政治や経済が世界とは違う路線を走っていることも有名である。そんなキューバで生まれ育ち、英語圏の国に移民をしたローゼン。大型カジノでディーラーとして働く傍ら、お金を貯めて世界旅のプランを練っていたという。そして、旅の予算を貯めた彼は、壮大な世界旅を始めたのだという。

 

ローゼンと出会ったミャンマーは、彼にとって「世界旅の111ヵ国目」と空港からの乗合バンで耳にしていたが、正直なところ眉唾な話だと思っていた。その後、彼の旧式の携帯電話や小さなカメラの中に収められている世界各地の写真を見せられ、それが本当なのだと知る。さらに、コロナ禍の今日、ローゼンが旅した国や地域の数は、すでに171カ国を数えていた。2013年からの7年ほどで、訪問国や地域をさらに60増やし、コロナ禍の今はブルガリアに長期滞在しているとのことだ。

 

ウクライナにチャーニブチという小さな美しい町がある。そこにあるイギリス人と現地のウクライナ人のカップルの経営する宿に投宿したおり、「世界200カ国以上の国と地域の全てを踏破」したアメリカ人と遭ったことがある。訪れた国・地域の数という指標で言うと、彼もローゼンも達人の域に入る。彼ら二人に共通していたのは、相手が何人であろうとも、全く態度を変えないということであった。

 

また彼らは、話しかけられれば誰とでも気さくに話をするし、少し間を取りたいというオーラを醸し出している相手に対しては深追いをしない。どこの地でも寛いで自分のペースを保ちながら、トラブルに巻き込まれないよう危機管理はしっかりとしている。ローゼンが旅の途上で一切酒を口にしないのは、酒が飲めないわけではなく、あくまで危機管理上の理由なのではないかと感じた。

 

 

次のブログ「旅人ローゼン、そして新たな旅人との出会い」に続けます。

Hope our paths cross again, brother.

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