雨季のミャンマーの道

 

 ミャンマーの雨季は長い。

 

 例年、ミャンマーは4月の最も暑い時期を乗り越えると、ゆっくりと雨季に入る。そして11月初旬ごろの梅雨明けまで、半年近くの長い雨季を過ごす。4月のタイ王国の「水かけ祭り(ソンクラーン)」は有名だが、実はこの風習はもともとビルマ(ミャンマー)から始まったそうだ。それがタイ王国やラオスでも行われるようになったとのこと。

 

 

 先日、ミャンマー南部の主要都市であるモーラミャインで数日過ごした。雨季のタイ王国から同じく雨季のミャンマーに行く前から、「ミャンマーが雨季である」ことは知っていた。「雨季のタイ王国」や「雨季のラオス」程度の「雨季」を想定していたのだが、「やや想定が甘かった」と思い知らされた。

 

 通常、というか乾季において、タイ王国の国境の町メーソートからモーラミャインまでは、車で3−4時間の距離なのであるが、雨季には水没した幹線道路を迂回し、ぬかるんだ裏道を6時間ほどかけて行かねばならなかった。

 

 メーソートからミャワディの国境を超えた30キロばかりの道は、タイの支援で造られた比較的平らな道なのであるが、そこから先は「ミャンマー人の、ミャンマー人による、ミャンマーの道路」であり、「平らな道の作り方を知っているのだろうか」と疑問に思うような道である。ミャンマーの道は、乾季の時期でさえ、ただ座っているだけのはずの車中でも、縦横に揺さぶられる道中を強制的に楽しまされることになる。車の中にいて座っているだけであり、全く歩いていないはずなのに、携帯電話の歩数カウントが3時間の車中の旅で4000-5000歩ほど計測されるほどの、冗談のように凸凹な道である。

 

 雨季のミャンマーの道は、日本で言えば「台風や津波の後の被災地」のような状態の道である。日本であれば、「あそこの道はまだ復旧前だよ」というコンディションの道であり、交通封鎖されそうなレベルであるが、ミャンマーの人々はそうした激しい道を果敢に、「例年のこと」として車やバイクで突っ込んで切り抜けていく。

 ミャンマーで走っている車の多くは、諸外国から持ち込まれた中古車である。そんな中古車を丁寧に車の機嫌をとりながら、だましだまし乗っている。「こんなところで車が止まったら、車の乗り換えを含め、目的地までどれだけ時間がかかるのだろう」と不安になるが、乗合タクシーの他の乗客たちは泰然自若としており、またものすごい動体視力と反射神経でぬかるんだ畦道を行くタクシーの運転手は、鼻歌交じりに車を運転しているのであった。

 

雨季のミャンマーの道は「酷道」

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