ヤンゴン、空からの落し物

 

 ミャンマーの街ヤンゴンを歩いていると、不思議なものに出くわすことがある。それはミャンマーの土地に根付いたものというよりも、主にミャンマー人の少し変わった不思議な習性に起因していることが多いのであるが。

 

 以前紹介した、「ヤンゴン鉄道の環状線」を下車し、少し歩いたところで無人の自転車から何やら視線を感じた。よくよく自転車をみてみると、なんのことはない、自転車に目がかれていたのだ。魔除けの目であろうか。同じく驚かされる事が少なくないベトナムの人たちは、船にこういう目を描く事がよくある。ミャンマーの場合は自転車など車輪系の乗り物にこういうのを描くのかもしれない。

 

 さらに歩みを進め、様々なものや人々の「ごった煮」であるヤンゴンのチャイナ・タウンに差し掛かった。ミャンマー人は平気で車道を横断していく人が多いのだが、自分は歩行者らしく歩道橋を渡ろうと考え、薄汚い歩道橋を歩いていると、歩道橋の下りに差し掛かったところで目を見張った。

 

 魚が落ちていたのである。

 

 「なんでこんなところに魚が」という強烈で唐突な疑問とともに、常識的に考えてみると、誰かが近くの市場などで買ったものを落としてしまったのだろうかとも思った。しかし、ミャンマーの持つ不思議な力には、それ以外の可能性も排除できない気にさせられる。

 

 「ひょっとしたら、空から降ってきたんじゃないか」と。

 

 

 映画『マグノリア』では空から無数のカエルが降ってくるシーンがある。また、村上春樹の『海辺のカフカ』にも、確か空から無数の魚が降ってくるシーンがあった。なんの脈絡もなく。しかし、必然として。

 

 そして、ここは魔界としての磁力の強いミャンマーのヤンゴンである。「空から魚が降ってくる」ことぐらい、起こってもおかしくないような気がする。ほかにも色々とヘンテコな事が起こる街なのだから。

ヤンゴンだしね

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