モンゴルの首都、ウランバートル。人口3百万人の小さな国モンゴルの首都だが、そこに人口の半分以上が集まっているという。残りの人々は、ロシアと中国に挟まれた比較的広大な国土に点在して暮らしている。かつてのように放牧民(ノマド)のスタイルを貫いている人々もいれば、便利な鉄道駅のそばの小さな町に暮らす人々もいる。
近年、経済発展と共に、首都のウランバートルには背の高いビルも多く立ち並び始めている。しかし、ウランバートル以外は草原や山々、砂漠などがずっと広がるモンゴル。飛行機でチンギスカーン国際空港に降り立つよりも、電車で中国やロシアからモンゴルを訪れると、地平線や美しい高原など、雄大な車窓からの景色を堪能できる。
そんなモンゴルの首都、ウランバートルでも近年は車がぐっと増えた。駅の周囲や街の中心部では一丁前に朝晩は「渋滞」するほどだ。

ウランバートルの街をゆくと、「ある車」が特に多いことに気付かされる。それはトヨタのプリウスだ。
駐車してある車の4-5台に1台はプリウスなのではないかというほど、ウランバートルでのプリウスのシェアは高いのだ。ウランバートルの観光名所であるとある寺でも、僧侶がプリウスに乗っていた。

ウランバートル市内だけでなく、広大なモンゴルをゆくには燃費の良いプリウスが人気になる訳である。環境税制で燃費の良い車の取得を国が奨励していることもあり、比較的状態の良い日本から輸入されてきた中古のプリウスは安価で人気がある。
ウランバートルの外に出ると途端にワイルドな道が続くようになるが、それでもプリウスで疾走するモンゴル人ドライバーを目にする。彼らからすると「四輪で走る車」というだけで、凸凹な路を疾走する不快感よりも、馬やバイクで疾走していた頃より、「随分と楽だ」と感じるのかもしれない。


ウランバートルの駐車場では、プリウスが5-6台連なって停車していることもあるほど、プリウスは日本以上にモンゴルの「国民車」となりつつある。
日本人と比べると、モンゴル人は総じて運転が荒いので、見通しの良いなんでもない道でも交通事故が多発している。モンゴルで車に轢かれたら、特にプリウスに轢かれたら、なんとしてでも車のナンバーの一部でも良いので憶えておこう。「灰色のプリウス」と警察に言ったところで、そこら中プリウスだらけなので、捕まる可能性は極めて低い。
もはや、プリウスはモンゴルの国民車
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