『攻殻機動隊 Ghost in the Shell (1995, 2017)』を観比べる

 

 アニメーション界では伝説的な作品となっている、押井守監督の『攻殻機動隊』は、国内外のクリエイターに多大な影響を与えた作品として名高い。欧米のライブ・アクション(実写版)の映画監督たちの多くにも影響を与え、押井守監督を崇める国際的に著名な監督も少なくない。あの『マトリックス』の緑の数字や文字がコロコロと変わるデジタル映像も、この『攻殻機動隊』へのオマージュとさえ言えるだろう。

 

 2017年、ハリウッド版の実写映画である『攻殻機動隊』がリリースされ、劇場で観るタイミングを逃したのでDVDで観た。今回、1995年のオリジナルの『攻殻機動隊』を観直し、2017年の新しいそれと観比べてみた。

Ghost in the Shell 2017

 

 

 

攻殻機動隊 1995

 

 

 

 

 まず、オリジナルの『攻殻機動隊』(1995)であるが、もうこれは掛け値なしのアニメーション映画史に残る傑作である。押井守監督はこの一本をして映画史に残る仕事をしてしまったと言えるし、その後、この作品を超えるモノを撮ることが、押井守監督をしても非常に困難であることを我々は目撃している。

 

 一応、野暮であるのは承知の上で、いつもの映画の五段階評価をしておこう。

『攻殻機動隊』(1995

 

 オリジナリティを1点減点したのは、原作の漫画があるため。しかし、漫画をアニメーションにする段階で作品に相当なオリジナリティが加えられているので、五段階評価を満点としても良いのであるが、点を引く部分要素がなくなってしまうので、あえてここだけ一点減点とした。ファン心理としては、満点でも足りないぐらいだけれど。

 

 1995年の段階のアニメーション映画において、これだけの映像美、モンゴルの女性楽団を使ったあの独特のサウンド・トラックを用いた押井守監督のセンスに、世界中の映画製作者は脱帽した。 『アバター』や『タイタニック』で世界的な興行収入の金字塔を打ち立てているジェームズ・キャメロン監督さえも、押井守監督には多大な敬意を評している。

 

 その押井守監督が敬愛するのは、やはり宮崎駿監督である。辛口で知られる押井守監督であるが、「宮さんがいるから、(庵野監督を含む)自分たちは好き勝手できる」と言わしめる巨人がいることは、日本の現代アニメーション界にとって豊穣な作品創りの環境があることを示す例であるだろう。

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 さて、続けてGhost in the Shell』(2017だ。

 

 

 この作品は、オリジナルのファンからは酷評されている。だが、作品の名称は同じではあるが、あえて「オリジナルへのオマージュ作品」、「別の作品」として観るには、十分に美しい映像美がある作品に仕上がっていると思う。同名なのが問題になるだけで。

 

 未来の香港を描いたような街は一瞬たりとも見逃したくないほど美しく、立体的なホログラムが街の随所に浮き上がる世界は、どのシーンも飽きさせない。どのシーンにも観入ってしまう美しさがある。

 

 主演のスカーレット・ヨハンソンも押井守監督が「好きな顔」というだけあって、作品世界にすっと入っている。ビートたけし(北野武)の存在がやや浮いているのが残念ではあるが、終盤に出てくる桃井かおりは、いぶし銀の存在感を放っている。

 

 オリジナルには、「母親との再会」の設定はなかったと思うのだが、これは足されていて、逆にいくつかの大事な要素が引かれているのが、往年のオリジナル『攻殻機動隊』ファンには許せないという理由となっているようだ。また、リメイクの「説明臭いのも許せない」という人がいるが、ハイウッド映画においては、そもそも「説明しないで観る者に考えさせる」という敷居の高さは許されないのだろう。

 

 それでは、最後に同じく五段階評価を。

 

 

Ghost in the Shell』(2017

限定時間内のみ視聴できるオンデマンド(レンタル)版

 

 

 

『攻殻機動隊』は、また観直すことになりそう。