2016年最高のアニメ映画の予感:Kubo and the two strings

 

 2016年、本年はまだあと4ヶ月ほど残り時間があるが、 「2016年最高のアニメーション映画作品」となりそうなものを観てしまった。それは、『Kubo and the two strings』である。マレーシアのクアラルンプールのNU Sentralにて、RM11(約280円)という破格にて。

 

 

 舞台は日本。主人公の少年の名を「クボ」という。ポスターで見ていたクボの姿から、てっきり少女かと思っていたが、少年であった。タイトルにある「the two strings(日本の弦)」の謎解きは、映画を観進めていくと分かるようになっている。ストーリーの主軸となっている部分なので、ここは触れずにおこう。

PG   1h41 min   Animation, Adventure, Family   19 August 2016 (US)

 監督はアニメーション・ホラーの名作『Coraline』や、凝りに凝った映像美の『The Boxtrolls』を世に送り出しているトラビス・ナイト。1973年生まれだというから、映画界ではまだ若手にして、すでに確固たるポジションを築いている。

 

 映画が始まるやいなや、独特な世界観の映像に目が奪われる。どこか日本の浮世絵にインスパイアされたような大胆な背景画も美しい。音楽も主人公のクボの弾く三味線をメインにのせてくるなど、映像と音楽とが一体になっているのも心地よい。

 

 脚本執筆陣が日本の文化に対して造詣が深いことが、映画の隅々から窺われる。三味線は中国から伝わってきた楽器であるが、本場の中国では三味線を使った演奏はもうほとんどみられない。むしろ、中国から沖縄に伝わった三味線の方が定着しているとさえ言える。その三味線が、劇中では音楽を奏でるものとなり、また「ある不思議な力を秘めた者たち」には武器ともなる。

 お盆の季節となり、村の人々が墓参りをすると、先祖の魂が帰ってくるのも幻想的だ。また、先祖の御霊を霊界に返すために、灯籠流しをするシーンも美しい。

 クボが片目を失った理由、母親の素性、クボの父親の武士の話などが自然と物語の中で繋がっていく。クボと猿、そして甲虫のような甲冑を着た記憶をなくした侍との三人の旅は、いつしかその旅路自体が彼らにとっての貴重な時間となっていく。

 

 日本でもワン・コイン(500円以下)で映画が観られるようになれば、人々はもっと映画館に足を運ぶようになるだろう。マレーシアでは新作映画でも平日ならRM11、週末でもRM14(約350円)程度で映画が観られる。現地スターバックスのカフェ・ラテのLサイズ(Venti)がRM14なので、スタバでカフェ・ラテを飲む気軽さで映画が観られるのだ。

 

 

それでは、慣例の25点満点の数値評価をしておこう。

 

Kubo and the two strings』(2016

 

Visual: 5

Performance: 4

Screenplay: 4

Sound & Music: 5

Originality: 5

合計25点満点で23点!

 

 

 

 コンピューターで描かれたCGアニメーション映像、ストップ・モーションのコマ送りの実写映像、そしてアニメーションとを織り交ぜた映像は、観る者を最後まで飽きさせないだけのものがある。

 

 脚本を一点減点したのは、話の展開で端折りすぎている部分がやや見受けられたから。

 

 旅の途中で「猿」と「カブトムシ的な武士」が何者か分かった時点で、クボと三者でどこかに逃げればよかった、という話も考えられただろうが、タイトルに結びつけるために、なぜか「彼らにとって最も大きな犠牲」を強いる展開となっているのは、やや不自然であった。ただし、それがないと映画の見せ所として成り立たないのかもしれないが。

 

 

 トレイラー(予告編)

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 映像製作の過程のわかる映像。途方もないコマ撮りにより、この美しい映像は創られた。クリエイターたちの途方もない労力を見るだけで、リスペクトの念が湧いてくる。

 

 

 

また観てしまいそう