スピルバーグからの子供達への映画:The BFG

 

 まことに慎みのない話で恐縮だが、私の母はオナラがすごい。「すごいオナラ」をする普通の人は、もうすでに「普通の人」ではないのだろうか。私の親類一同で唯一、とてつもない頻度で放屁をし、その一発一発のクオリティが高いことで、名を馳せている。

 

 かつて、母が青山にある大手広告会社で働いていた時のこと。トイレでオナラをしたら、壁の隣の男子トイレの方から「おおおお!」と驚いた男性社員の声が聞こえたということだ。その話を「まいっちゃうわよ」と言いながら笑いながら話していた。「まいっちゃう」のは驚かされた方や家族なのだが。幸い、子供にはその「すごいオナラ」は遺伝で伝わっていないので、助かった。いや、ほんとうに。

 

 

 さて、なぜこうした「ビロウな話」から始めたかと言えば、本作『 The BFG』でオナラにまつわるシーンがあるからだ。

 

  マレーシアの首都クアラルンプールのブキ・ビンタンで17リンギット(約440円)でThe BFGを観てきた。周りの観客には分からないであろうが、オナラのシーンで思わず母と、母が飼っているコーギー犬の事を思い出してしまった。小津安二郎監督の『お早よう』にも、オナラを効果的に使ったユーモアがあるが、あの映画でも自分は母を想起したのは言うまでもない。

PG 1h57m   Adventure, Family, Fantasy     1 July 2016 (US)

 さて、『The BFG』を観終わってすぐに、母に「『The BFG』、子供には面白い映画だったので、孫(私からすると甥っ子・姪っ子)たちと一緒に観に行くと良いですよ。尊敬されますよ」と意味深なメールを送っておいた。日本は映画の観覧料が高いが、母が孫達と一緒にこの映画を観に行ってくれることを願ってやまない。日本での公開は2016916日(土)とのこと。夏休み公開であればよかったのに。

 閑話休題、『The BFG』について。タイトルのBFGとは、Big Friendly Giantの略で、「やさしい巨人」のこと。定冠詞のTheがついていることからも分かる通り、「ある特定のやさしい巨人」のことを指している。というのも、本作ではこの「ある特定のやさしい巨人」以外にも、巨人が出てくるからだ。他の巨人たちは、日本の『進撃の巨人』ほど荒ぶる巨人たちではないが、やや性質を等しくする面を持つ。これ以上書くとネタバレするので控えよう。しかし、子供向けに作ってある本作なので、グロテスクなシーンはない。

 メインの舞台はイギリスなので、人々は思い切りイギリス英語を話し、コーギー犬が好きなことで有名な某イギリスの皇室のあのお方も主要人物として登場する。短い映画の中では、「え、このお方が」という程に話の展開が急だ。ロアルド・ダールの児童文学である原作を元にした本作『The BFG』だが、原作ではどのように描かれているのであろうか。

 音楽はスピルバーグとは長い1932年生まれのアメリカ人作曲家の重鎮ジョン・ウィリアムス。全編を通してそつなくクオリティが高いが、観終わって数時間すると耳に残っている音楽はほとんどなかった。残念ながら、本作では『スター・ウォーズ』や『ハリー・ポッター』のように強烈に耳に残る音楽はない。

 ジョン・ウィリアムスとスピルバーグ監督は、1975年の巨大鮫の映画『ジョーズ(Jaws)』や1982年の『E.T.』、1993年の『シンドラーのリスト』で協働し、それら3本でアカデミー音楽賞を受賞しているが、本作はノミネートも難しいかもしれないな、という感じの音楽であった。https://en.wikipedia.org/wiki/John_Williams

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 孤児院に入っている少女がこの夢のお話の主人公。ロンドンの街を巨人に「さらわれながらも」疾走するシーンは、『ピーターパン』へのオマージュだろうか。

 そういえば、自分が劇場で初めて観た映画は、子供の頃に母に連れられて観に行ったスピルバーグ監督の『E.T.』であった。大人になってから観直しても、名作であることに変わりのなかった『E.T.』。「ホーム、ホーム」と自分の星に帰りたがる『E.T.』は、胸を締め付ける。

では、慣例の25点満点の映画評をしておこう。

 

The BFG』(2016

 

Visual: 5

Performance: 4

Screenplay: 4

Sound & Music: 4

Originality: 3

 

 

 

合計25点満点で20点!

 

 オリジナリティは原作があるので3とし、脚本は少し「話が飛びすぎ?」という感があったのと、巨人たちが普段何を食べているのか、どうして飲んだくれのように地面で寝ている割に、酒を飲むシーンが全く無いのかなど、「やさしくない巨人たち」の描写がどうも弱い気がしたので4点とした。音楽も耳に残らなかったので4点。ATOMS仕様の劇場で観たので、効果音は素晴らしかったが。

 

 子供の視点から観た「こうあってほしい世界」という感じがあり、巨人も大人も、どこか温かみのある描き方をされている。

 

 

 

それにしても、すごいオナラだ。