ベトナムにて公開中の『The Walk ザ・ウォーク』を観てきた。ベトナムでは日本よりも映画の配給が早く、かつ料金もずっと安い。今回のThe Walkのチケットは55000VND、約300円である。

アルカイダのテロによって、かつてニューヨークのマンハッタンに屹立していたワールド・トレード・センター(WTC)の二棟のビルが無くなってから10年以上も経つ。
マンハッタンを街歩きするときには、あの2本の巨大なビルが方角を知るのに役に立った。マンハッタンの南端にある背の高い双子のビルを見つけさえすれば、あとはどちらかが分かったのだ。
WTCの最上階には、かつて「トップ・オブ・ザ・ワールド」という名前のバーがあって、週に一度はエントランスが無料の日があり、近くの語学学校に短期で通っていた頃に、各国の友人たちと訪れたことがある。二棟のビルの足元に立ち、あの巨大なビルを初めて見上げた時の感動は、この映画の中でも描かれている。
しかも、当時のWTCは世界で最も背の高いビルであった。今日のようにデュバイのタワーやクアラルンプルの双子のタワー、中国の多くの背の高いビルは、まだ影も形もなかった頃の話。
<映画のあらすじ:ネタバレ注意!>
1974年の8月に完成したWTCであるが、そのオープン前に許可を取ることなくゲリラ的に2棟の棟の間にワイヤーを張り、その上を「命綱を付けずに渡る」というパフォーマンスをすることを夢見たフランス人のフィリップ・プティと、彼をサポートする恋人や友人たちとの物語。この粗筋だけ読むと、フィクションのような印象を持つのであるが、これが「実話」だというから驚きである。
映画は123分と適度に長めであるが、緊張を強いる展開が多く、飽きさせることがない。主人公のフィリップは確かに変人であるが、こうした変人がいるからこそ、この世界が前に進んできたという事実もある。アップル社のスティーブ・ジョブスしかり、周りにいる人たちは大変だろうけれど、彼らの信念が世界を感動させ、何かを前に大きく前進させる。そんな「人間の強い信念、粘り強さ」が夢を叶えた時の感動は、周囲の人間だけでなく遠く離れた人々にも感動を伝播させる。
以下、私の5つの映画評価軸で5段階評価すると、
<The Walk ザ・ウォーク>
Performance: 5
Visual: 5
Story: 4
Sound & Music: 4
Originality: 5
合計:25点満点で23点!
ストーリーの部分でやや脚色性を強く感じたのと、サウンド&ミュージックはそつなく優れているが印象に残らなかったので、それぞれ1点ずつ減点。
大きなスクリーンで観るとよりWTCを渡る臨場感が感じられると思うので、ぜひ劇場に足を運んで観てみて欲しい映画であった。DVDやブルーレイを自宅で観るなら高精細で大きめの画面がオススメ。
The Walk 挑戦しよう。
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