タイ人僧侶とペナン島への渡し船を共に

 

 マレーシアのバターワースからペナン島に渡るには、かつては渡し船が主な手段であった。しかし、マレーシアの本島とペナン島をつなぐ大橋が出来てからというもの、地元民・観光客の多くがこの橋を利用するようになっている。

 

 これまでにペナン島には数度訪れているが、バスで橋を渡るか飛行機で直接ペナン島まで直行していたので、渡し船を使う機会がなかった。

 

 先日、タイから南下して電車でペナンへと向かう車窓から、マレーシア北部の町並みを眺めている内に、「せっかくだから、今回は渡し船で渡ってみようかな」という気になった。

 電車のバターワース駅からペナン島へと向かう渡し船の船着場は、目と鼻の先であった。

 船は車を数台一緒に運べるほどの大きさの中型フェリー。座席も十分にあり、狭苦しい感じはしない。船内にタイのチェンマイから来ていた二人組の坊さんがいたので、興味本位で近くに腰掛けた。

 

 坊さんたちはチェンマイで最も有名な「チェンマイ西部の山の中腹」にある寺から来ていると言っていたが、それがどこまで本当かは分からない。「外国人が知っていそうな有名な寺」の名を適当に言っているだけかもしれない。二人とも長く僧侶をしているそうで、片方の坊さんなど、「靴を30年も履いていないよ」と言っていた。確かに彼の固くなった足の裏は、象の足のように、どこにでも歩いて行けそうな強度を誇っているかのようだった。

 

 渡し船がペナン島のジョージタウンに着く頃になって、片方の坊さんが「一人当たり50バーツちょうだい」と言ってきた。あまりに普通に「ちょうだい」というので、不快感はなかった。「持っていないんだ、今度ね」と軽く受け答えると、慣れた感じでそのまま引き下がってくれた。

 

 タイ仏教では、「他者に与えることで功徳を積む」という考えがあるので、僧侶であろうとなかろうと、割と平気で「ちょうだい」と言ってくることがある。彼らの発想では、「(自分に与えた)君にとっていい事なんだよ」という考えがどこかにある。

 

 そういえば、かつてバンコクの空港で搭乗前に手荷物検査を受けた折、X線探知機を抜けた後、鞄に入れていたモンブランの万年筆のセットを見た「全くの初対面の係官」に、「これ記念にちょうだい」とカジュアルに言われたこともあった。もちろん、あげなかったけれど。

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 ああいう「ちょうだい」と言われた時の「気の利いた返答」を用意しておかないと。

 

 

 

政治家はヤクザの親分で、宗教家は物乞いの親分。