タイ王国ラヨーン県の浜辺:人は少ないがゴミは多め

 

  タイ王国の首都バンコクには、ほとんど海がない。また、部分的に海に面している場所もあるが、すっかり港や防波堤であり、ビーチと呼べる砂浜はほとんど存在しない。

 

 バンコク市民が休日に近場に海を求めて向かう先には、二つの選択肢がある。

 一つはチョンブリー県のパタヤ方面。そしてもう一方は、プラチュアップ・キーリー・カーン県側のホアヒン方面だ。しかし、そのどちらもすでに飽和状態に達しており、静かな海を求めるのであれば、さらに先へと歩を進めないとならない。

 

 バンコクからチョンブリー県を通り過ぎ、南東に向かった先にラヨーン県はある。象の頭のような形をしたタイ王国の、ちょうど耳朶のあたりにあるのが、ラヨーン県だ。ラヨーン県は長い海岸線を有する県であり、幾つものビーチが点在する。すっかりリゾート島として名を馳せているサメット島もこのラヨーン県にある。

 

 ラヨーン県の海までやってくると、さすがに人はまばらになる。日本の首都圏の海水浴場を思わせるような、パタヤ・ビーチの喧騒とは懸け離れた静かな浜辺が広がる。首都バンコクから200キロ以上の道のりとなるが、静かな海を求めてここまでやってくる都会人も少なくない。

 物価もバンコクやパタヤの半分近くまで下がり、新鮮な魚介類でも浜辺の食堂や屋台では格段に安く口にすることができるのであるが、肝心のビーチに関して言うと、やや残念な点がある。人の数に反比例して、「ゴミが多い」のだ。

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 異邦人にとっては残念なことに、ラヨーン県の人心が荒れているのであろう。もともとあった美しい浜辺に、タイの人々が残していったゴミがそこら中に散らばる。特に、大人数でやってきたタイ人たちは、浜辺で飲み食いした後に、そのままゴミを放置して帰っていく人が少なくない。また、ゴミが多い環境というのは、「心理的にゴミを捨てやすくする」のか、つられてゴミを捨てていくタイ人が後を絶たない。

 

 野良犬や野生の猿だけでは、海はここまでゴミだらけにはならない。しかし、心の荒んだタイ人が多くなるにしたがい、タイ王国の海辺は、次第にその自然なままの美しさを急速に失いつつあるのであった。

 王室のブランディングには、莫大な広告コミュニケーション予算をつぎ込むタイ王国であるが、意外にも環境保護には無頓着な面があるのもこの地の一面である。

ゴミは持ち帰ろう