美しい地下世界、ロシアの都市メトロ網

 前回、「世界で2番目に深いロシアのサンクトペテルブルクのメトロ」を取り上げました。今回はその続きです。

 

ロシアには、深い地下を走るメトロ網が、首都モスクワと第二の都市であるサンクトペテルブルク、そして地方都市のニジニノヴゴロド、ノヴォシビルスク、サマラ、エカテリンブルグ、カザンの7都市にあるという。その他の広大なロシア領には、地上を走るトランス・シベリアン鉄道網はあるが、都市の毛細血管のように地中を縦横無尽に走るメトロはない。

 

モスクワとサンクトペテルブルクのそれは、特に美しい地下迷宮として名を馳せている。実際に現地に行って地下構内を歩き回り、地下鉄に揺られてみると、感情を表に多く表さない乗客の乗るメトロは、なんとも異世界な雰囲気を帯びている。

 

かつて、ロシアがまだソ連であった頃、地下鉄や鉄道網の写真を撮ることも禁じられていたという。それがどんな国家機密に抵触するのかは分からないが、社会主義国というのは、なんでも秘密にするのが好きなようで、たとえ旅人であっても自由にメトロや鉄道の写真を撮ることが許されていなかった。

 

しかし、今日のロシアでは、メトロの写真を撮っても、そう咎められることはない。かつてのソ連の頃の習慣が残る人々や、観光客相手に詐欺を働く不届きものを除き、今日メトロの写真を撮っていて怒られることはない。まして、かつてのソ連のように、「メトロの写真を撮ったから罰金だ」などと言う輩は、詐欺師であると疑って間違いないだろう。

 

ロシアの中でも、モスクワのメトロ網は一時期のロシアの経済発展の恩恵を受け、急激に発達したようで、そのメトロ・マップはどこの先進国のメトロ網にも負けていないものである。

 

2019年現在
2019年現在

 

この中で、地中を走る地下鉄は中心円のあたりであり、郊外に行く路線は地上を走る路線となることが多い。メトロの地下世界を堪能するには、この地図の中心円のあたりが、「モスクワの地下世界」を垣間見るのに適した場所である。

 

 

急ぎ足で経済発展をした上海や北京の今日の巨大な「地鉄」網も、郊外に行けば行くほど、地上を走る路線となるのと同じである。地上に特に何もなかった郊外の地域であれば、特により大きな費用をかけ、地下に鉄道を走らせることもなかったのであろう。

 

庶民の日々の足として地下を走るロシアの地下鉄は、乗客の雰囲気も合わせ、なんとも良い味を出している。またあの美しい地下世界、地下宮殿を覗きに行くだけでも、ロシアに戻ってみたいと思わされるだけの魅力を放っているのだ。

チェブラーシカの故郷の地下鉄。

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