ここ数回、「モンゴルのウランバートルから、ロシアのモスクワへの鉄道の旅」について書いています。
モンゴルからロシアへの国境を超えると、そこは当然ロシアだ。モンゴル鉄道に所属する列車に乗っているとはいえ、ロシアの鉄道の上を走っているので、それはある意味シベリア鉄道の旅とも言える。
また、モンゴルの鉄道はロシアの支援を多分に受けているようで、列車の車輪のレール規格(幅)もロシアや旧USSR諸国と同じものである。
中国からモンゴルに出入りする国際列車は、鉄道レールの規格が異なるので、車輌を持ち上げてレール幅にあった車輪へと取り替える必要があるが、モンゴルとロシアは同じ規格なので、列車はそのままの車輪幅でシベリアの鉄道網を走ることができるのだ。ロシアからすると、「国は違えど、モンゴルも延長線のようなもの」という感覚なのではないだろうか。
深夜にロシア領に到達した列車は、夜中もゆっくりと健気に歩みを進めており、明け方にウラン・ウデの町を出て少し経つと、この長い「シベリア鉄道の車窓」から観られる景色の中でも、圧巻な景色の一つである「バイカル湖」が姿を表す。
バイカル湖は世界最大の湖だ。車窓の外に広がるバイカル湖は、陸地の中にある水たまりというよりも、広すぎて海のように見える。外観上で海と異なるのは、打ち寄せる波が静かなことだろう。
これだけ巨大なバイカル湖でも、真冬には湖面が凍結し、巨大な氷の塊が出来上がる。かつてのロシアでは、その上に鉄道を走らせたりもしたようであるが、バイカル湖を迂回する鉄道が走るようになってからは、危険な湖面上の鉄道は、運行されていないようだ。
さて、シベリア鉄道の長旅で、乗客たちはどのように時間を過ごしているのであろうか?
乗客には、 コンピュータでなにやら映画やドラマを観ている人、音楽を聴いている人、読書にいそしむ人、列車の中を歩き回る人、停車駅の度に駅のホームに出てフォーク・ソングを歌っている人などがいる。
ここで、多くの乗客に共通する二つのアクティビティがある。それは、
(1)食べる
(2)寝る
の二つである。
シベリア鉄道では途中下車しない限り、どんな乗客でも、この二つのアクティビティにはゆっくりと時間をかけることができる。「(2)寝る」をアクティビティにカウントして良いかどうか分からないが、「食べているか寝ているか」がメインの「活動か不活動」であることは間違いない。