凍りつく頤和園の人工湖の愉しみ

 

 北京の冬の風物詩といえば、凍りつく川や湖がある。最低気温が氷点下となる日が多い冬場、人々がせっせと道端に吐き捨てる痰すら、路面のあちらこちらに凍りついている。春の訪れとともに、河川や湖の氷が溶け出す頃に、冬の間凍っていた道端の無数の痰も溶け出すのだ。想像するだけでやや気が滅入るけれど、それが北京の冬である。いやはや、本当に。

 

 さて、北京中心部で最大の湖はといえば、頤和園の昆明湖がある。ここを訪れる前に情報がなければ、これが「人工湖」であるとは思えないほどの広さの湖だ。しかし、どんなに広い昆明湖といえども、凍てつく北京の寒さには勝てず、ここの湖面も例年しっかりと凍りつく。歴代の皇帝たちが夏のひと時を過ごすために作られた頤和園、9世紀ほど前には宮廷で使用する水源としての貯水池であったそうだ。

 一年で最も寒い1月から2月頃には、凍りついた昆明湖の上で、多くの人々が雪車やスケートを楽しむ微笑ましい光景が見られる。人手が多い週末や祝日には、とても快適に雪車やスケートが楽しめているようには思えない。しかし、世界文化遺産の割に文化的な見世物の公開は限られ、だだっ広いのが売りの頤和園では、他に特にやることもないので、少なくない人々が「せっかくだから」と雪車やスケートに興じているのだ。

 

 かつて、西太后が国が傾くほどの費用をかけ隠居後の居住として改築した頤和園。彼女が湖の景色を見下ろしたであろう丘の上から湖上の様子を眺めると、凍った湖面の上を蟻が蠢いているかのように雪車やスケートに興じる一群が見える。

 この一群に混じって無邪気に遊べればどんなに幸せだろう、北京の冬の良い思い出になるやもしれない。無理矢理にそう思いながらも、実のところ「混み合う頤和園を早く抜け出したい」「温かいコーヒーやお茶をすすりたい」のが多くの人の本音で、気づけば足は地下鉄やバス停のある出口へと急いでいるのであった。

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