タイ王国の歴史は、800余年前にスコータイから始まった。その後、アユタヤに遷都し、現在のバンコクへと首都は至る。
バンコクから北に80キロほど行った一つ前の古都アユタヤに、「懐かしいオモチャのミュージアム」がある。その名を「ミリオン・トイ・ミュージアム」というが、実際に「百万の」オモチャがあるわけではなく、「多くの」という程度に解釈しておこう。
アユタヤの古都の中心部は、小川で区切られた周囲10キロほどの外周のある地区である。周囲10キロというと、日本の皇居の二倍ぐらいのサイズである。
「ミリオン・トイ・ミュージアム」は、このアユタヤの中心部の北西に位置する。入り口近くには駐車場とレトロな感じのレストラン、その奥にミュージアムの可愛い建物はある。庭に飼われた鶏たちが、古き良きアユタヤを感じさせてもくれる。
入館料は外国人50バーツ、タイ人20バーツとよくあるタイ王国流のダブル・スタンダードであるが、なんとか許容範囲であろう。 世界遺産に指定されている有名なカオヤイ国立公園などは、外国人からは10倍の値段をぼったくるので、それらと比べれば、まだましである。

館内に足を踏み入れると、所狭しと「ブリキのおもちゃ」「ソフトビニール(ソフビ)のおもちゃ」「布地のおもちゃ」などが並ぶ。館長はいわゆるコレクターらしく、予算的に値打ちのものは、同じおもちゃを多数「大人買い」して集めている。
日本のキャラクターものも多く、日本人が訪れても十分に郷愁を誘うものが多い。むしろ、「タイ王国オリジナルのおもちゃ」は少ないように思える。あるとすれば、二階にある仏像ぐらいであろうか。これは「おもちゃ」の括りではないかもしれないが。
ミュージアム・ショップには、「気持ちばかりの可愛いおもちゃ的なお土産」の当たるガチャガチャがある。童心に返って、ガチャガチャをするのも楽しい。
アユタヤの古都はビルマ(ミャンマー)軍の攻撃にあい、かつての寺院などは八割から九割ぐらいが破壊されてしまっているので、観られるのはかなり寂しい遺跡である。屋根がない場所が多く、日差しも厳しい。自転車で観光している観光客などは、1日で真っ黒に日焼けしてしまう。
強い日差しを避け、日陰で休憩がてらに訪れるのにも、この「ミリオン・トイ・ミュージアム」はオススメ。

ただ、「ミュージアム」といっても、それぞれのおもちゃに「名称や製造年代・地域」すらなく、体系的な理解が深まる説明も一切ない。漫然と多くのおもちゃが展示ケースに入れられているだけなので、「コレクターの倉庫を訪れる」位の軽い気持ちで訪れるとちょうど良さそうです。
なんとなく再訪してしまう。