バンコク随一のアート・スペース存続の危機?(前編)

 

 以前、タイ王国はバンコクでコンテンポラリー・アートを鑑賞する際に、多くの企画展が無料で楽しめるBACCを取り上げたことがある。

 

 BACCは先代のプミポン国王の娘の一人、タイ王国の国民に最も人気のある王女様がスポンサーとなって運営されている美術館だ。先代のプミポン国王には、一人息子(現国王)と3人のプリンセスの計4人が「公式に認められている子息」として存在する。その中でも、プミポン国王と頻繁に活動を共にし、タイ国民のために尽力してきたと「思われている」王女様は、国民にとても親しまれた存在だ。

 バンコクのサイアム地区の多くの土地は、王室に所属する土地であるが、BACCの斜め向かいの緑の多い王女様の宮殿は、隣のサイアム・センターからも眺めることができる。彼女は国内外、いく先々で写真を撮りまくり、いつの間にか「少し下手くそなアラーキー」位の腕前の写真家にもなっていた。BACC9階のギャラリーで、よく彼女の写真が大きく引き伸ばされた写真展を開催されてもいる。

 

 そんな彼女が全面的にバックアップしているBACCだが、先日バンコクでよくない話を耳にした。なんと、「バンコク政府がBACCの存在意義に疑問を持っている」というのである。

 

 バンコクでアートに関心のある友人たちは、口を揃えて「BACCには存続してほしい」という。しかし、先代の国王が逝去し、タイ王国全土に掲げられていた国王の写真の多くが現国王に差し替えられ、紙幣にも現国王の紙幣が増えてくると、タイ王国の雰囲気がやや変化してきているのを肌で感じられるようになった。

 

 現国王は3度の離婚を経て、今年に入って4度目の結婚を国王のボディ・ガードの元タイ航空のアテンダントとした方である。3度目の離婚の際には、元お妃とその家族を「不敬罪」にするなど、かなり「際立ったお方」であるのはよく知られている。さらに、4度目のお妃を目取られた数ヶ月後に、さらに若い34歳の「別の国王のボディ・ガード」を実質的に2番目のお妃にするという、かなり「際立った施策」をされるお方である。

 タイの友人たちは、「そのうちタイ王国は毎月「母の日(祝日)」があるんじゃないか」と冗談を言うほどである。タイ王国において、「母の日」とは通常は王様のお妃、皇后の誕生日である。現在の「母の日」は現国王の母君である先代のプミポン国王のお妃、皇后の誕生日がそれである。

 

 

 「後編:静かな政変の始まり?」に続きます。

MBK前の犬たちは、プミポン国王の忠犬なのだろう

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