郷愁を誘うタイ王国の中央駅:ホアランポーン駅

 

 大都会となったタイ王国の首都バンコク。人口規模では、日本の大阪と同じぐらいにまで成長し、背の高いビルも多く、昼は経済都市であり、夜も一部の地区では「夜のコンテンツの活気」のある街となっている。

 

 しかし、この国の鉄道の中央駅であるホアランポーン駅は、バンコクの大きな発展からは取り残されたように、その規模や機能をほとんど変えていない。近年になって、ようやく体育館のように広い吹き抜けの待合室に冷房が入るようになったぐらいで、駅の構造自体は数十年前から大きな変化がないのである。

 

 中央駅の名前は、タイ語で「ホアランポーン」という。「ホア」とは「頭」を意味し、「ランポーン」は「スピーカー」という意味である。なぜか「スピーカー・ヘッド」という意味を持つタイ王国の中央駅は、これまでに北へ、南へ、東へと、多くの旅人を送り出してきた。駅舎の基本構造が変わらないので、久しぶりに訪れた旅人の郷愁を誘う場所でもある。

 

 さて、このホアランポーン駅、駅舎自体の変化は少ないが、近隣には確実に変化が見られる。地下鉄網のMRTはホアランポーン駅まで繋がっており、中央駅へのアクセスは随分と楽になった。また駅前のなんだかよくわからないボロボロの雑居ビルにも、新しいレストランやコンビニが入居し、かつてのいかがわしさは随分と影を潜めている。

 

 

 駅の西側に流れる小川を渡ると、チャイナタウンの「最もいかがわしい感じの地区」が残るが、それとて近年は随分と「おしゃれなカフェやバーのあるチャイナタウン」へと変貌を遂げつつある。

 

 さて、日本の多くの鉄道駅とは異なり、ホアランポーン駅ではチケットを持っていなくても、何の保安検査もなく駅舎に入れるばかりか、鉄道が発着するプラットホームのある場所まで行くことができる。

 

 さらには、停車している列車に乗り込むことすらできてしまう。この辺の大らかさというか、緩さというか、テロの心配をしてセキュリティが異常に厳しくなっている中国の鉄道駅と比べると、そのゆったりとした姿勢が「古き良きタイ王国の懐の深さ」を感じさせないでもない。(ただ単に「適当」という話もあるけれど)

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どこか可愛いホアランポーン駅。