タイ中央駅の私的パワー・スポット(後編)

 

 前回、タイ王国の中央駅である「ホアランポーン駅」私的なパワー・スポットの触りを書きました。今回はその続きです。

 

 

 さて、前回の前編では個人的に気になるB級パワー・スポットである「旅占い」「運勢占い」について書きました。今回は正真正銘の「パワー・スポット」です。ある意味で。

 

 タイ王国に訪れるようになってから、なんども利用してきたホアランポーン駅。かつては体育館のような待合室の空間に冷房もなく、蒸し暑い中、効き目の悪い換気扇だけを拠り所に、待合客たちはこの空間で汗ばみながら列車を待っているものだった。特にタイ王国の気候に慣れない異邦人は汗でシャツを濡らしている人が多い。

 

 逆に、現地のタイ人たちは「暑い、暑い」と言いながらも、割とさらりとした肌でいるのであった。彼らタイ人は対応できる最高温度がかなり高く、また強烈な冷房にもなぜか強いという特殊な体温調節機能を持つようである。

 

 そんなかつて居心地の悪かったホアランポーン駅だが、数年前に待合室全体に冷房が入るようになり、かなり大型でそれなりにちゃんとした送風のできる扇風機なども導入された。だだっ広いだけが取り柄かと思われていた待合空間は、劇的に居心地が良くなったようである。

 

 

 さて、「パワー・スポット」の話。ホアランポーン駅には、割と以前から「タイ・マッサージの店」が入居しているのは知っていた。しかし、列車に乗り込む前に待ち時間が1時間以上ないとマッサージを受けるのは叶わず、目の端でその存在を認識しながらも、ずっと利用しないままでいた。

 

 先日、雨季のバンコクにて、雨が降り始める前に駅に着いておこうと、少し早めにホランポーン駅に行った折、気になっていたマッサージ屋をついに試すことができた。結果から言うと、「その見た目の割に、満足」であった。列車に乗り込む前に、しっかりと気力・体力も回復することができた。文字通り「パワー・スポット」であると言える。

 

 ホアランポーン駅のこのマッサージ屋は、駅の正面入り口から入ると、すぐ左手にある。やや奥まったところに入店する、小ぶりな古い感じの店舗であるが、BGMにはタイの伝統音楽も静かにかかり、タイ・マッサージ屋の体裁を整えている。

 

 当日のマッサージの施術師の面子は、人生経験の豊富そうな女性陣が数名、物腰の和らかい男性が一人という内訳であった。自分は全身のボディ・マッサージを依頼した。人生経験の豊富そうな女性陣の中でも、浜辺で日光浴をするトドの群れの中のリーダー格のような感じの女性が「おっしゃー、ワシがやったるで!」と名乗りを挙げる。若く美しい女性の施術師などは皆無であったので、「誰でも一緒かな」とそのまま受け入れた。

 

 いざマッサージが始まり、少し話をしてみると、「トドのリーダー」は人生経験が豊富そうではあるが、マッサージ歴は僅か一年ということであった。いろいろあって、ホアランポーン駅のマッサージ師として働いているのであろう。だが、経験一年の割には、マッサージの腕は悪くなく、的確に身体のコリや緊張をほぐしてくれる。その巨漢から繰り出される適度な力加減の施術に、小一時間のうちに身体はすっかりリセットされていた。

 

 タイ・マッサージのチェーン店で気に入っているのが、「ヘルスランド」であるが、このホアランポーン駅のマッサージ店は店の設備にしても、雰囲気にしても、施術師の経験値にしても、正直言って全て及ばない。しかし、車窓の旅の前に、ふらりと立ち寄って心身の疲れから回復を図るには、そう悪くない場所であった。ここをホアランポーン駅の「個人的なパワー・スポット」と呼ぶに吝かでないのは、そのためである。

列車に乗り込む前に、疲労回復

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