以前「バンコクで有名なゲイ・ストリート」について前に書きました。今回はその派生編です。
かつて、ラオスからタイへと向かう旅路で知り合った中国人の旅人タイガーと、バンコクの宿で知り合ったアメリカはサンフランシスコ出身のケイトを連れ、バンコク一有名なゲイ・ストリートであるシーロム・ソイ4、パッポンのレディー・ボーイ(LB)のお店、最後にハードな方のゲイ・ストリートと梯子をしたことがある。
パッポンはどこもドリンク代が150Bに値上げされており、女性やLBへのドリンク代は200Bとなっていた。時代の流れを感じる。今はもっと高いのだろうか。
中国人の旅人タイガーは、大陸で過ごしている時には、ジムに通って身体を鍛えているマッチョ系である。しかし、彼はいわゆる「ノン気(ゲイではないヘテロ・セクシャルの人)」である。だが、バンコク在住のゲイのみなさんは、そんなこと(ノン気かどうか)はお構い無しに、彼の身体を舐めるように吟味されることを発見した。以下は、そのお話(の一部)。
私:タイガー、バンコクに来たら人妖(レンヤオ:中国語でレディー・ボーイのこと)のお店やゲイのお店にいかないと
タイガー:それ、楽しみにしてたんだよ。連れて行ってよ
私:アメリカ人の友人も興味があるらしいから、一緒に行こう。待ち合わせは、BTSサラ・デーン駅の側のシーロム・コンプレックスにあるスターバックスに夜9時にしたよ
タイガー:了解!すごく楽しみ!
ということで、金曜の夜9時集合とした。夜9時10分前にタイガーとスターバックスに到着すると、すでにアメリカ人のケイトは集合時間の10分前にも関わらずそこに姿を表していた。アメリカ人なのにパンクチュアル。素晴らしい。
バンコクの夜の街の基礎情報であるが、男性が女性を求めて遊びに行く「夜の街」の最も賑やかな時間帯は、夜の9時から12時ごろである。しかし、男性が男性を求めて繰り出す「夜の街」は、12時以降から盛り上がっていることが多いようだ。ゲイの皆さんは夜行性なのであろうか。あんまり遅いと髭が伸びちゃうのに。
さて、シーロム・コンプレックスのスターバックスにて、他にも招集をかけてあった他の友人たちを待つものの、30分待てども時間通りに来ない。そこで時間に正確な3人で、先にシーロム・ソイ4に行くことに。
スターバックスで待つ間、近くの座席に陣取っていた明らかにゲイの方々4人組が、しきりとタイガーの肢体に視線を注いでいるのを感じる。タイガーはカオサンで買った、タンクトップを着てきていたので、鍛えた身体がゲイの皆さんには眩しかったことだろう。この段階になって、タイガーが「ゲイ・アイ・キャッチャー」であることが発覚する。ハエ取り紙のように、ゲイの皆さんの視線を集めて離さない効果を持っていたのだ。これは同伴する同じくノン気の私には有難い。
私:タイガー、ゲイの皆さん、みんな君を見てるよ。
タイガー:なんか、それすごく感じるよ。やばいね。
私:もう、いいんじゃないかな。あっちの世界に行っても。呼ばれているよ。
タイガー:いや、まだ無理無理。
などと冗談を言い合いつつ、3人でシーロム・ソイ4への道を歩いていく。金曜の夜9時半過ぎには、シーロム・ソイ4のバーの座席はほとんど埋まっていたが、通りに面したテーブル席を見つけることができ、そこに陣取る3人。ゲイの皆さんの舐めるような視線が、予想通りタイガーの身体に降り注ぐ。

私:サンフランシスコのカストロ通りに行ったことあるよ。あそこはすごいね。住人の3割がゲイとかレズビアンの人たちでしょ?
ケイト:うん、アメリカにもゲイは多いから慣れてるけど、あとで行くLBのお店は本当に楽しみ。タイのLBは別格ね。
私:アリスのワンダーランドだよ。
ケイト:バンコクじゃないとできない経験ね。

その後、夜10時過ぎに他の招集メンバーも合流し、パッポンのLBのお店に移動する。タイガーはここでも人気者で、私の馴染みの明るいLBの兄さんキャラの知人に気に入られ、入店するやいなや、おぼっちゃまくんの「ともだちんこ」的な「股間の鷲掴み」の洗礼にあっていた。タイガー、やるね。(というか、やられそうだね。)
L Bのお店を後にする頃には、男性陣は全員「股間の鷲掴み」の洗礼を受け、女性陣は新たな世界の入口を垣間見ることができ、みな感慨深い面持ち、紅潮した面持ちでハードな方のゲイ・ストリートを経て、それぞれの宿への帰路へとついたのであった。

タイガー、気をつけてね
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